回想シーンでご飯3杯いける

ゾンビーズの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ゾンビーズ(2018年製作の映画)
4.5
「ハイスクール・ミュージカル」「ディセンダント」の流れを汲む、ディズニーチャンネル・オリジナルの学園ミュージカルなんだけど、これの何が凄いって、ゾンビに対する差別が、アメリカにおける黒人差別のメタファーとして完璧に描写されている事。

ゾンビタウンはニューヨークの黒人居住地区まんまだし、彼らが街中でカラフルな壁画を楽しんでいるのも黒人によるグラフィティと同じ。空き家になっている倉庫でダンスパーティーが開かれ、人間がよりも過激で新しい音楽を楽しんでいるのも同じ。

最初は差別を受けていたゾンビがやがて注目され、人間が彼らのファッションやライフスタイルを真似るようになる。そして、人間の保護者から問題視される。この辺りの展開も、全て'80年代のアメリカに於いて、白人と黒人の間で実際に起こっていた現象をベースに作られている。

他に、ゾンビ側の人間に対する感情が一枚岩でなかったりする構図は、'60年代の公民権運動からの引用だし、いやもう、本当にお見事としか言いようがない。

他のディズニーチャンネル作品と同じで、音楽のクオリティも高いし、リストバンドを操作する事で、ゾンビとしての本能をコントロールする設定も面白い。ミュージカルを楽しみながら、人種差別の歴史も学べ、解決のヒントも発見できる。ディズニー恐るべしな傑作だ。