回想シーンでご飯3杯いける

夏時間の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

夏時間(2019年製作の映画)
4.0
事業に失敗し奥さんにも逃げられてしまった父親が、娘と息子を連れて飛び込んできたのは、お祖父ちゃんが1人で住む大きな一軒家。そこで過ごす事になる夏休みの様子を、まるで日記のように描いている。

スマホが登場するので現代劇だと思うが、お祖父ちゃの家という事で、インテリアや家電がひと昔前という感じがして、どこか懐かしい雰囲気が漂う(チェイサーで殺人鬼が住んでいた家に似ている。典型的な韓国の一軒家という感じ)

娘は十代中盤、息子はまだ小学生だろうか。まだ母親にも甘えたいし、お祖父ちゃんも大好きという幼さに対して、姉は別れてしまった両親を見下していて、同世代の男子と会う事で、大人の世界を意識し始める。わずか数年の年齢の違いだが、世界の見え方が全然違うというのが、本作最大の見どころだと思う。

お父さんが日銭を稼ぐためにやっているのが、何とも怪しいスニーカーの行商。この辺りの描き方も絶妙で、映画としてのお洒落さとは程遠いけど、家族について色々考えてしまう、味わい深い作品だ。