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孤狼の血 LEVEL2のamuのネタバレレビュー・内容・結末

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

待ってました!アマプラ。
映画館に行く勇気が無く(作品内容もそうだけど、コロナ禍のため)、配信心待ちにしておりました!


いや~

エグい。画的グロさ、レベル2!なんなら一作目の方がやっていることはえげつないのに、今作の方が何故か見ていられなかった。目潰し行為にミッドサマーみを感じたからかも。ヤクザの世界というより猟奇殺人鬼との闘い的恐怖感。


お話はわかりやすく、五十子会の上林(鈴木亮平さん)が刑期中(要するに前作中)に殺られてしまった五十子会長(石橋蓮司さん)の仇討ちをしたい!の一択ストーリーなのだけれど、上林が何故こんなにも残忍な人間なのかを裏付ける過去のサイドストーリー(幼少期のトラウマ)や、事件の取っ掛りとして刑務所で繰り返し自分を暴行してきた刑務官への復讐話がぶち込まれることで、上林が会長の仇を打ちたい義理堅い人間というよりは、幼少期のトラウマを引きずった猟奇殺人鬼でしかない感じがしてしまい、ちょっと勿体なく感じてしまった。鑑賞後に観た制作発表会見の場で鈴木亮平さんが、新しいヤクザの見せ方をしたいと考えたということを言っていて、妙に腑に落ちたけれど、なんだろ、新しさ通り越してぶっ飛んでました。(サイコ度100%)

自分の妻子も、そして自分自身もこの上ない残虐さで前作において五十子に殺された大上(役所広司さん)。とにかくカタギの人間を守るために尽力した末の、余りにも悔しい最期だった。大上の形見のライターを手に、この三年変貌を遂げてきたエリート刑事・日岡(松坂桃李さん)のはずだが、変貌したのは大きな声を出す勢いとルックスだけで、所詮は生ぬるく考え方も人を見る目も青く色々と甘かった。

日岡の彼女・真緒(西野七瀬さん)の弟で、五十子会から足を洗ってカタギになりたいチンタ(村上虹郎さん)を、情報収集のため日岡はS(スパイ)として上林の傍に潜り込ませるなんてフラグ立ちすぎて最初から辛かった。当然のごとく目潰しの刑!そしてこの最期を迎えるまでがしんどかった…(最期がミッドサマーみ強め)

でもちょっと違和感。
それまでの上林のやり方からするとチンタにとどめを刺す(目を潰す)より先に、真緒を襲い目を潰し見せしめにしそうなものを。これをしなかったのはもはや不自然でしか無かった。真緒は先述の通り日岡の彼女であると同時にチンタの実姉である。しかも上林が最も恨んでいる尾谷組の御用達クラブのママという意味でも十分すぎるくらいの立ち位置。なのに、指一本触れられずに済んだのはおかしい。もしその理由が元乃木坂メンバーだとかの大人の事情で出来ないのだとしたら大いなるミスキャスティングである。真緒をいたぶり監禁でもしたならば(最期はもちろん目潰しの刑!)日岡へのこの上ない宣戦布告になったはず。日岡の怒りをMAXにしてこそ頂上決戦が映えるというもの。勿体ない!
また、小さな弟、妹をも目潰しの刑にして鳥小屋に放置する方がチンタへの衝撃も、さらには日岡への衝撃も大きかったはずだし、上林はそういう男!のはず、、なのだが。

とはいえ。やはり今作は日岡の青さが全てといえば全て。どんなに風貌が変わっても中身は大上さんの足元にも及ばず。さらには警察組織の黒さと対峙するにも日岡は根が善人すぎた。組同士の抗争を抑えることの意味を履き違えていたし。刑事である前に一人の人間として大上さんの仇を打つような強い意思が欲しかった!養豚場で拾った〇〇まみれのライター。いつもそれで火を付けていることの意味!…色々ともどかしさがあった。

ミッドサマーみを持ってした今作はある意味「レベル2」ではあったし、五十子の側近が出所してきたことによる頭の仇討ち戦争で、尾谷組の若頭・一ノ瀬(江口洋介さん)刑期中も相まって平穏に見えたこの三年もあっという間に崩れ去った。それだけ上辺だけの脆いものだったことが残念である。

それから。今回のキャスティングについて
非常に個人的見解ではありますが黙っていられない数々があるので発散させてください!

まずキャストに毎熊克哉さんの名前があり、どテンション上がった!
アニキ!毎熊ニキー!
…で、どんな役だろうと思ったら上林の側近!
最高の立ち位置!!!
でももっと悪くても良かった。
犬と仲良くなって優しさ出ちゃってた。

大丈夫?いける?
…と思っていた斎藤工さん。
めちゃくちゃかっこいい(見た目)!!!
あと早乙女太一さん。
めちゃくちゃ合ってた!!!
渋川清彦さんも!
早乙女太一さん、制作発表のインタビューで現場に行くのが怖かったと言っていたけど、普通にヤクザの怖い人感出てた。
そして尾谷組って基本みんなかっこいい。
もし「レベル3」があるならば、是非現在刑期中の尾谷組の一員、中村倫也さんの復帰を強く望みます。江口洋介さんも出所して、五十子の首は獲ったものの自分をハメた日岡に対する恨みを爆発させて欲しい。今度は今までの尾谷組と警察の関係が崩れての闘いが観れたら嬉しい。ような嬉しくないような。どっち!

で、警察。
本当にクズ。クズオブクズ。
また個人的に滝藤賢一さんと中村梅雀さんが嫌いなんですが(顔)、今作におけるお二人最高に最低で、ますます嫌いになりました!瀬島(中村梅雀さん)のストーリーについては背筋がゾッ。人間がいちばん怖いというのを全面的に見せつけられました。信じちゃったなー、日岡よ。(私も。)

チンタ役の村上虹郎さん。
すごく良かった!
もうあれだね、なんでも出来るね。

日岡役、松坂桃李さん。
目が死んでて最高でした。
見通せなかった未来に向けて、ぜひとも続編希望。

チンタの姉・真緒役、西野七瀬さん。
坂系出身者の自称「女優」への信用度0な私ですが、他の方が言うほど悪くはなかった。大人の事情が無くなったらまた白石作品に出て欲しいとは思う。

最初の目潰しの刑、上林が恨んでいた刑務官の妹でピアノ講師の、筧美和子さん。
この役…無駄に筧美和子さんを起用しない方が良かったのでは。目潰しは事務所もOKで頑張ったと思うけれど、胸元が見える程度では映像のタイミング的に強姦する前に目潰ししちゃった感じがあったので、上林の非道さ残虐さを出すには中途半端にコンプライアンスがある人を使うより、ちゃんと強姦シーンも撮れる女優さんの方が上林の人間性を演出出来たように思う。劇場公開時にランダムで配布されたカードにもタレントだからラインナップに入っていたけど、瞬殺されてるしあまりに他キャストとの重みが違いすぎてなんとも言えない。

亡き五十子会長の妻役、かたせ梨乃さん。
さすが元祖・極道の妻!
1ミリも脱いでないのに凄まじい色気。
上林と絡みでもあるかと映像無しでも関係性の想像を掻き立てられました。

みんなだいすき音尾琢真さん。
前作で真珠取られ、今作で指二本取られ、イキりながら痛い目みまくりですが、今作での立ち位置が完全にコメディで勿体なく思えたり、緊迫感続きの画面の中でちょっとした笑い要素は悪くは無かったとも思えたり、なんとも複雑でしたが白石作品に音尾さんは絶対的に必要なので出てくれてとても嬉しかったです!

寺島進さん、宇梶剛士さん、吉田鋼太郎さん。これだけの強面おじさまが揃っていながら完全に上林の方が怖かったの、改めて凄かった。あまりに怖すぎるから寺島さん、宇梶さんなんかもはや優しいおじさんにしか見えなかったし、吉田鋼太郎さんに関してはギャグ要員だった。

というわけで最後に上林役、鈴木亮平さん。
観る前に散々その怪物度合いの噂は耳にしていましたがなんてスマートに悪役をこなすのだ!素晴らしい!!!!!
めちゃくちゃに怖かったです!!!!!
残虐すぎる役にご本人相当落ち込んだという記事を目にし、本当は優しい人で安心しました。笑

総評としては、、
なんだ、あれだ。続編希望てことかな。繋ぎとしては相当良い「2」だったと思います。役所広司さんのいない今作、みんなが頑張ったのはとても伝わってきました。
amu

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