健一

ザ・ゴールドフィンチの健一のレビュー・感想・評価

ザ・ゴールドフィンチ(2019年製作の映画)
5.0
素晴らしい作品でした。私が好きなタイプの作品。
エンドクレジット後 思わず『素晴らしい』と発しながら画面に向かって拍手👏してしまった。

おととし(2019年)本国アメリカで公開された作品。
この年の年末頃には『アカデミー候補?』なんて言われていたが 結局ノミネートもされず 話題にもならず 日本でも劇場未公開のまま 静かに消えていった映画。
なんで? こんなに素晴らしい作品なのに。信じられない!
今回WOWOWで放送してくれたので奇跡的にこの作品と出会えた。
もし 2019年に劇場で鑑賞出来ていたら恐らく この年のNo. 1 だったかも。
この作品とめぐり逢えた幸福感でいっぱい。
主演は日本での人気も うなぎ登り でスピルバーグが監督する「ウエストサイド物語」のリメイク版に抜擢されたアンセル・エルゴード。
今後の活躍が期待される若手の俳優さんです。

13歳の時にメトロポリタン美術館での爆破テロで母を失った少年 テオ。
父は既に失踪しているため 身寄りの無いテオは 裕福な家庭の元で暮らすことになる。
彼は爆破の直後 美術館から密かにある絵画を持ち出していた。
それは カレル・ファブリティウスの絵画『ゴシキヒワ(Goldfinch)』だった。

人生とは苦難の連続、一筋縄では行かない。
悲劇 偶然 出会い 別れ 愛し 裏切り 裏切られ
大切な『人』と『物』も『得て』『失う』。
若き青年の一生分の出来事!

過去と現在の時間軸を巧みに交差させ最後まで緊張感 失せない見事な演出、そして編集。
撮影監督界の巨匠 ロジャー・ディーキンスによる幻想的かつミステリアスな映像。役者達の抑えた静かにして重い演技。多感な少年に訪れる運命のいたずら。
なぜアカデミー賞にノミネートされなかったの? 映画としてほぼ完璧だと思うが。

主人公の少年時代を演じた男の子の 過酷な人生を背負わされた少年、しかし希望は失っていない少年をナチュラルに演じていて本当に素晴らしい。この子の名演が本作を完成度の高い作品に押し上げている。
その他 ニコール・キッドマン、ジェフリー・ライトなどの名優たちも『悲しい大人』を好演していて雰囲気を出している。

2時間半という長丁場を全く感じさせない、ほぼ全編 画面に釘付けだった。

ここ数年で私が自宅で見た映画の中でNo. 1 です!


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