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僕はイエス様が嫌いのレクのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
3.9
宗教も信仰も関係なく、純粋に少年視点から描かれる祈りと請い。
突如、カトリック系の環境に放り込まれて半ば強制的に祈りを捧げることになった少年が、悲劇により神に懐疑的になり文字通り神ごと聖書に拳を叩きつける。
しかしながら、この映画は単純な反キリスト映画ではないと感じる。

この映画の登場人物たちは奥山監督の実体験から生まれてきたとのこと。
また、登場する小さなイエス様はユラのイマジナリーフレンド的なもので、彼が祈りを捧げて友達ができたことで神の存在を身近に感じたと考える。
そして悲劇が起きたことでその神を疑い、祈りの無意味さを痛感する。
しかし、事故にあった友人の回復を求めるときに、小さなイエスは現れない。
その(自ら作り出した都合のいい)神に対する怒りという感情自体が「僕はイエス様が嫌い」と拒絶することが、神の存在をまだ信じていることに他ならない。
なぜなら「神はいない」と神の存在を否定した瞬間にその矛先がなくなってしまうのだから。

つまり、この映画は祈りを介して信仰心、神の存在を懐疑的に描きながら逆説的にそれを肯定してしまっているんです。
祈りとは神に話すことであり、利を求めたり何でも願いが叶う魔法の言葉ではない。
それに加え、願えば与えられんと謳う聖書では、信仰を持つものしか救わないと明確に記載されている。
神とか宗教とか関係なく、現実に起きたことをどう受け止めるか。
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