このレビューはネタバレを含みます
初めて観た時、かなり衝撃を受けた。
今では人生で一番大切な作品で、わたしを形成している作品の一つ。
年越しの瞬間はこれを観て過ごした。
これからもそうしようと思う。
鑑賞するごとに考えが深まるいい映画だから感想はこれから毎年少しずつ書くことにする。
好きなセリフ。
・「狂ってるのは僕か?それとも世間か?」
・「この人生以上に高価な死を望む」
翻訳前 「i just hope my death makes more cents than my life」
訳者が天才的な訳し方をしている。
これは公開してからまだ月日が経ってない頃にどこかで見つけた考察から得た情報なんですけど(今探したけど見つからなかった)、高価と硬貨が掛かってるんですね。
つまり生きて必死に働くより死ぬ方が金になる社会を皮肉ってる。
自分の死ぬ姿が見せ物になるなんて道化じゃないですか。死んだら金なんか必要ないのに。弱者は死ぬことでしかお金を稼げない。
・「何がハッピーだ。幸せなど一度もなかった」
・「人生は悲劇だと思っていた。だが今分かった。僕の人生は喜劇だ。」
このセリフはチャップリンの「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。」オマージュである。
この映画では苦しみの中でもがき生きるアーサーをずっとクローズアップで映してきたわけだが、最後、精神病棟にいるアーサーは笑っている。この物語をジョークとして達観している。つまりロングショットで観ているから喜劇なんだなと思った。
ジョーカーという名前、アーサーにすごくピッタリなんだなと思った。
スペルを見るとジョークを言う人という意味だし、ババ抜きで考えるとみんなに煙たがられる存在という意味になる。