これがインディーズ映画ってほんと？ってくらいにワンカットワンカットに監督のアイデアがぎっしり詰まっていて、どこも見逃したくないほど。登場人物に課す動作、キャラ設定、服の色や模様、部屋にかかるカーテンの柄…絶対におざなりにしてないのが伝わる！
イ・オクソプ監督と助演のク・ギョファンは公私に渡るパートナー。CREAやGINZA（WEB版でもいける）ではお二人揃ってインタビューを受けてます。それもすごく興味深い内容でした。映画を観てから読んでも、シーンが印象深いから思い出せるし、意図も掴みやすかったです。
（今作では監督と役者だけ分業、脚本・編集・制作ではタッグを組まれています）
ポスターになってるカットはなんと自転車に乗っていて（！）彼女の仕事終わりに彼が迎えに来て一緒に帰ってるとこ。こんなかわいい2人が思いがけない結末に着地します。
看護師役のイ・ジュヨンがとっても愛らしい。
『梨泰院クラス』や『ブローカー』ではマニッシュな役が多かったけど、この作品では小動物みたいに目をクリクリさせてる姿がかわゆい。
彼氏のク・ギョファンは前半と後半で顔つきがまるっきり変わる匠の技が光ってるし、彼女が勤務する病院の副院長役のムン・ソリもすっとぼけたキャラが新鮮。
インディーズといいながら、制作の打診はなんと韓国国家人権委員会。当時韓国では女性が盗撮されるなどのデジタル犯罪に巻き込まれていて、そんな状況を落としこんでほしいとの依頼だったみたいだけど、これまた斬新な解釈で展開されてくし、女性が生きやすい社会という提起は最後までみるとよくわかります。
変わった趣向はもう1つ。
映画のストーリーテラーは入院患者が飼育するなまず。
だからこその結末も思わずニヤリ。
いやあ…すごく好きな作品です。
レオス・カラックスが好きな方には刺さる気がする。
若き天才ついに陽の目に現るって感じ。
