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デーモン・インサイドのSY3KRのレビュー・感想・評価

デーモン・インサイド(2018年製作の映画)
4.0
インディーズ界隈で脚本家・監督として幾つかの映画制作に携わり、確かな実力を見せてきたコリン・ミニハンが手掛けるサスペンス・ホラー。

本作は良くも悪くも突拍子がなく、前触れの無い突然の展開に度肝を抜かれる。ただ、それに至るまでの演出や脚本によく目を凝らすと、全てのシーンにちゃんと意味があり、意外にも細やかな演出によってさりげなく伏線が回収されている。

ジャッキーの異常性も父親と狩猟に出かけた過去の回想に裏付けされているし、ジュールスの職業について交わした何気ないセリフが後々活かされるシーンも出てくる。これらは作り手の計算の範囲内であり、コリン・ミニハン監督の脚本は実に巧妙だ。

非常に限定された舞台とキャスト・少ない予算で作られているにも関わらず、本作は脚本の上手さでランタイム98分をまるで飽きさせないクオリティに仕上げた。次から次へと予想外の駆け引きが連続され、息つく暇もない。

主演の2人のパフォーマンスも素晴らしく、本作の魅力を更に押し上げた。ストーリーの8割はジャッキーとジュールスの攻防戦で占められるが、両者とも存在感抜群で目が離せない。特にジャッキーを演じたハンナ・エミリー・アンダーソンの顔面力は凄まじく、アップで映し出される彼女の狂った顔は最高だ。

ホラー映画は時に行き過ぎてコメディの領域へと侵食し始めるが、本作もまた死の一歩手前という究極の状況を時にユーモラスに演出している。総じて、個人的には十分すぎるほど面白いホラー/スリラーで、大変満足いく出来栄えであった。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:80%
・観客支持率 :43%
「スマートかつスタイリッシュであり、上質な演技を備えた作品だ。本作は、定型的な枠組みを根本的に変えずとも、魅力的なホラーは作ることができると証明している。」
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