さば

僕たちは希望という名の列車に乗ったのさばのレビュー・感想・評価

4.0
ドイツが東西に分かれていた頃の実話に基づいた話。ファシズムとか社会主義とかベルリンの壁についてもあまりピンと来なかったので調べながら鑑賞。主人公たちは自由を求めるハンガリーの民衆に共感し黙祷をしたが、それがたちまち大きい、今の私たちからしたら特に、あまりに大きな人生に関わる影響をもたらすことになる。自分や家族のこれからの生活が危うくなると分かっていても自分の信念を貫き、誤魔化さずにいることってどれくらい覚悟のいることなのだろう。私に彼らと同じ在り方ができる気がしない。情報や思想が管理される生活とはどのようなものだったんだろう。同じ若者として、私は彼らの行動力や意志の強さにはまったく及ばない。家族と離れて、もう2度と会えないかもしれないと思いながら別れることがどれだけ辛いか、想像するだけで苦しい。最後、彼らは「希望」の列車に乗るが、これが本当に希望かなんて分からない。希望を持って明日を生きることは大事でも、これが邦題にされるほどこの列車に「希望」の文字があるかと考えると微妙だと思った。ぬるま湯に浸かっているような生活を送れている私たち、でもこの生活や安全がいつ失われるか、とうとう分からなくなってきた。少し離れた街では虐殺が毎日行われている。人々の権利も安全も暮らしも命も失われている。ぬるま湯から出ようとしない今のところ安全な国にいる私たちは、きっと主人公たちのような意味での強い人間ではない。でも少しずつそうなることができるなら、そうなれることを願って、民衆の平和に向けた活動や主張、デモをみたり参加して、少し離れたところの仲間たちがこれ以上殺されていくのを一刻でも早く止めなければいけない。本当に自由が欲しいなら、行動しなければいけない。自由、覚悟、仲間について考えさせられた。
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