藻尾井逞育

王宮の夜鬼の藻尾井逞育のレビュー・感想・評価

王宮の夜鬼(2018年製作の映画)
3.5
「誰も我らを哀れみませんでした。誰も手を差し伸べなかった。誰も我らの話を聞かなかった。しかし王子は違いました。それが王では?やっと王に出会えた。心残りはありませぬ」

噛まれると人の生き血を求める怪物“夜鬼“へと変貌する謎の疫病が蔓延した朝鮮時代。その存亡の危機に帰還した王子イ・チョンは、夜鬼の群れと闘う武官パクと行動を共にすることに。一方、国王の側近であるキムは、夜鬼を利用して国家転覆を謀ろうとしていた。

朝鮮王朝時代劇とKゾンビアクションのハイブリッド映画です。謎の疫病がはびこる中、国家転覆を企てる側近に王子たちが立ち向かうという、まぁ言ってみればごくありきたりのストーリーですが、それがあるおかげで単なるゾンビパニック映画とは一線を画しています。ゾンビもこの映画では夜鬼という存在で、太陽の光に弱く日中は暗闇に隠れているなど吸血鬼の要素も含んでいます。夜鬼に噛まれると白目を剥いて牙をはやす。噛まれても患部を切り落とせば夜鬼にならない(かもしれない)。どちらかというと、私たちの慣れ親しんだアニメ「鬼滅の刃」に出てくる鬼に近いものを感じるのは、同じアジア文化圏ということでしょうか⁈
この映画で悪役を演じるのが、かつて韓ドラ四天王の一角に数えられたチャン・ドンゴンさんです。冷酷な演技に徹し圧倒的な存在感です。対するは「愛の不時着」のヒョンビンさん。キレッキレな動きでめっぽう強いです。この二人が最後、炎の上がる王宮の屋根の上で対決するシーンは迫力があり圧倒されます。でも気のせいか、ヒョンビンさん、なんか先輩のチャン・ドンゴンさんに相当気をつかっているかのようにも感じられました⁈頑張れ、ヒョンビン!