ふっくー

男はつらいよ お帰り 寅さんのふっくーのレビュー・感想・評価

3.8
「男はつらいよ」シリーズまさかまさかの最新作であり記念すべき50作目の完結編。

どのような形で寅さんを復活させるのか心配でしたが、全シリーズの総集編という感じですね。
「男はつらいよ」シリーズはBSとかNHKで毎週やってたりしてたので、全シリーズ観たことあります。傍若無人な寅さんが、失恋した時に、悔しくて涙を流しながらラーメンをすする記念すべき1作目の寅さんから振り返ると、だんだんと良い人さが浮き彫りになるのが面白いですよね。

今作はまさにファンの為に作られたような作品で、山田洋次監督がカムバックしてくれたこと。寅さんと何度も出会い、1番結婚してほしかったマドンナのリリーさんや、満男の初恋相手の泉ちゃん、そしてさくらと博、みんなすごく歳を取ったね。
タコ社長が経営してた寅屋の隣にあった印刷屋はマンションが建ち、さくら達だけになった寅屋は今も変わらずで懐かしい気持ちになりました。

昔のエピソードの振り返り映像も、人気の名場面の詰め合わせで、メロンの下りとかリリーさんへの愛の告白、そして最後はやっぱり怖くなって結論を後回しにする寅さん。シリーズのお決まりをいつも通り見れたのは嬉しいですね。

満男の小説が「おかえり、寅さん」であり、その内容がとても良かった。
劇中では、寅さんは誰も死んだとは言っておらず、どこで何をやっているのかも語られない。
ただ満男が「こんな時、おじさんがいてくれたらなー」と呟くくらい。
いつもどんな時も満男の味方でいてくれた寅さんを、満男はずっと好きで慕っていたんだなーと思うと、ラストシーンの満男の涙と共にフラッシュバックする今までのマドンナ、寅さんの名言は、今はいなくなってしまった(どこかに行ってしまった)寅さんはもう戻ってこないんだなーと思うと悲しくなります。

寅さんがいつ帰ってきても良いように寅屋の2階はいつも空き部屋になっているのも、なかなかグッとくるものがありました。
空港での満男と泉ちゃんのキスシーンは賛否ありそうですけども笑

25作目の「寅次郎ハイビスカスの花」は言わずと知れた名作で、寅さんが初めてリリーに想いを伝えると同時に、ラストシーンがすごく好きで、いつ見てもほのぼのします。

48作目「寅次郎紅の花」は寅さん演じる渥美清がもう病気で立っていられないくらい弱りきってしまっていたのにも関わらず、何事もないように寅さんを演じていました。
首にはマフラーのような物を巻き、冷やさないようにしていたり、なるべく負担がないように座ったままの演技などが多く、何度も共演していたリリーこと浅丘ルリ子はその姿を見て涙したそうです。
本当にお疲れ様でした。
こんなに続くシリーズを山田洋次監督、そしてシリーズを支えてきたキャストを迎え50作目を公開出来たことが奇跡だと思います。
スクリーンに帰ってきた寅さんに「おかえり、寅さん」と是非言いたくなる作品でした。
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