Oto

オオカミの家のOtoのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.6
初めてみるタイプのストップモーション。映像の中で3次元と2次元が融合している新鮮な表現。
不連続性を活かしたワンカットの設定になっているのもすごくて、トランジションが部屋を移動することで行われているのも面白い(劇団た組を思い出した)。

序盤はずっと「これどうやって撮ってるの?」と思いながら観てた。見終わってから知ったけど、実寸大のセットを組んで5年近くかけて制作したとのこと。『JUNK HEAD』『犬ヶ島』でも思ったけど、そんなエネルギーがどこから湧いてくるのか不思議で、そこまでして表現したいことがあるの羨ましい。音の表現もずっとすごい。

ストップモーションならではの表現として、日常では起こり得ない現象が常に起こっているので、単純に観ていて飽きない。ジブリを観る時にも思うことだけど、ケの中にも極端なハレが入り込んでいる。壁の中のブタがボールをキックする表現とかすごくツボ。

テーマはかなりハイコンテクストで全然読み取れていないけど、実在した「コロニア」を元にしているそう。想起したのは『マックスモンアムール』と『キャラクター』で、人間関係の辛さから逃避するために、子ぶたを家族のように思い込むという話なのかな。

冒頭と最後に話す人のポジションがよくわからない(フェイクドキュメンタリーのような体裁をとっている)のとか、最初に出た説明がかなり重要だったりとか、あえてなのかもしれないけど、少し不親切な設計だった。

短編『骨』は「1901年に制作された作者不明&世界初のストップアニメ」という設定らしい。結婚や老いという不可逆なものを元に戻してしまう儀式なんだろうか。。
正直テーマとか全然わからなかったけど、アリアスターが褒めているのはすごく納得。
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