niwajun

犬鳴村のniwajunのレビュー・感想・評価

犬鳴村(2020年製作の映画)
3.0
結構楽しめました。ストーリーやメッセージを練った分純粋な恐怖は薄まった印象です。楽しみにしてた廃村は壊れかけた一軒家に入るだけでちょっと不満でした。呪怨っぽい怖さや廃村探検のワクワクを求めて観ると少しガッカリする映画です。「この村で何があったのか」を登場人物と共に追いかけ、ついでにホラーを楽しむ映画かと思います。
 見どころとしてはこの映画、高島礼子さんと宮野陽名さんの動きが良い!w高島礼子さんの動きは「アクション映画だっけ!?」笑えますw宮野陽名さんはバレエでもやってたのかな??小顔で長い手足も相まって非常に印象に残る良い動きでした。海外のゾンビ映画とかからお声かからないかな?🧟‍♀️

ストーリーの深読み:本作に隠されたメッセージとは??

★未見で先入観無しで見たい方以下ご注意して読んでください★
流石にオリジナル脚本!という事で思ったよりストーリーが練られてます。メッセージ性も清水監督作品としては込められてるようですね。

家族の絆、部落差別問題あたりは表のテーマ。裏のテーマはささやかな現行政治への疑問定義と若い世代への応援メッセージかな。

「犬鳴村と政治」
村で見つけた鏡に昭和24年と書いてありました。この年はちょうど吉田茂内閣発足の年です。吉田茂は戦後抜群の外交センスを発揮してGHQによる占領をたくみな戦術で乗り切り日本の経済を世界一までのし上げるきっかけを作った人として高評価を良く見る総理ですね。

ただ、光あれば闇もアリって事で、調べると闇の部分の側面にダム建設があります。
経済復興の為、ダム建設の地域特定作業が始まる訳です。で、特定された地域は渓谷や過疎地集落だった訳です。「ある程度の犠牲はやむなし」との事で全村水没などの計画が進んでしまい住民側の行政への不満や不信感も多く残ってしまいました。。
犬鳴村の様に消えてしまった集落は沢山あったのでしょう。


吉田茂と言えば現行政府と共通点があります。吉田茂の孫は麻生さん。さらに戦後二度の総理大臣になったのは吉田茂と安倍さんだけと言う共通点があります。
今の時代、ダム建設で沈む村は流石にありません。しかし二極化する社会が問題視され様々な映画でも取り上げられる社会です。今の時代、見えないところで沈められてしまうのは一体誰なんでしょう?
その辺が監督の問題提起かな^_^

「逃げ切りの世代と負担を背負う若い世代」
不思議だったのはバチ?があたるのが孫世代って設定でした。これはいわゆる社会保障の比喩と捉えれば解釈しやすいかと思います。払った以上に年金もらえる逃げ切り世代のツケは若い世代が払っていくんですよね。
コレはある意味古い世代で作られた呪いみたいなもの。ただ、監督は希望を残すメッセージとして赤ちゃんを映画に出してます。赤ちゃんはこれからの世代への希望。
若い世代がんばろう!ってメッセージかなぁと思いました。


「犬」
犬鳴村は企業、国、利権に食い物にされたマイノリティの比喩とするならば
若い世代よ!牙を向け!って事かな?

やっぱり色々メッセージを込めるとホラーとしての純度は下がるような気がしますね。犬鳴村好きですから次回「樹海村」作も観たいかな♪最近だとスケアリーストーリーズはよりメッセージ性が強いホラーです。メッセージ性のあるホラーが見たい人はそれもオススメです★



追記:
監督、インタビューで「中国の観客は『あのシーンの意図は何か!?』って凄く聞いてきて嬉しかったし、(それが無い)日本が心配」と、受け手側の姿勢について語ってました。やっぱり本作は単純なホラーと言うだけでないメッセージを込めたものなのでしょう。
とすると次回作樹海村は自殺、孤独死とかその辺にスポット当てる感じかな?
niwajun

niwajun