ONE PIECE is dead.
JUMP連載第一話から観ているファンです。アニメより原作好きな立場からのレビューです。
まず、好きなキャラ満載で楽しかったです。2時間割いて観てみようと思わせる引きもあります。終わり方も良かったです。
反面、脚本や設定に窮屈さと行き詰まりを感じます。監督や制作陣は限られた範囲の中でベストを尽くして居ますが、『ONE PIECEはこう有るべき』と言う固定観念と原作ファンへの忖度で映画としての自由さを失っていないでしょうか。
このあたりフィルムストロングワールドの異常な大ヒットこそが元凶であるとも感じます。確かに当時、原作から掛け離れたアニメONE PIECEに喝を入れる如く生まれたストロングワールドは大ヒットを記録し、尾田栄一郎の描くONE PIECEの魅力をアニメが伝え切れていない事を証明しました。
しかし、大ヒットの反面、脚本はさほど魅力的では無く良く言えば王道。悪く言えば無難な作品だった印象があります。
それ以降、原作の尾田さんが映画作成にも関わる様になり、ONE PIECEのアニメも作画を原作に寄せる様になりました。原作ファンを大切にして、原作と矛盾が無いようにする事がONE PIECEにとって最も大切な事になったように感じます。
ですが、映画としてそれで良いのでしょうか?映画ならではの予算や表現方法、キャラクターの解釈方法があって良いのでは無いでしょうか。映画としての挑戦をやめて、ワンピース映画は原作の下請けになっているように感じてしまいます。
過去の作品で言えば、原作を改変してファンや作者を激怒させつつも名作として未だ語り継がれる作品も多くあります。魔女の宅急便しかり、ビューティフルドリーマーしかり、キューブリックのシャイニングしかり。。ONE PIECEと言う日本が誇る最高の漫画コンテンツを原作の下請けだけにしてしまうのは勿体なく感じます。
この海で最も自由な者が海賊王であるはずです。尾田神と原作ファンの顔色ばかり伺った作品を作っている事は原作に対する冒涜では無いでしょうか。
現状の映画はまるで海賊王になる夢を諦めた政府お抱えの七武海のようです。(もちろん七武海は最高に魅力的ですが!)映画制作者やファンの皆様はどうか映画製作の自由を応援して頂く広い心を持って頂きたいです。
そして、映画ONE PIECEは、もう一度自由を取り戻し、原作を超える『ONE PIECE』を作って頂きたく思います。
ONE PIECE REBORN.