このレビューはネタバレを含みます
初めて見る感じの独特の面白さだった。
松田優作演じる吉本は得体の知れなさと可笑しみが同居してた唯一無二なキャラクターで見応えがあったし、茂之はあの年頃の男子の特有の生意気さを目線から醸し出してた。
吉本と茂之のかけあいや食卓はちゃめちゃシーンなど結構笑いながら見た。とくに食卓のシーンはなんで笑っちゃうのかわかんないけど、とにかくおかしくて爽快感があった。
泣き出すご近所と布団を出せとせがむ息子にあたふたする母親のシーンも訳が分からなすぎて面白かった。
中盤くらいまで思ってたよりインパクトのあるシーンなくて少しだれた感じもしたけど、ラストの食卓シーンからの展開でのめり込んで観た。
当時の家族への風刺をわかりやすい群像劇で見せるだけでなく、観る側に解釈を委ねる余白を作っているあたりが作品に深みを与えていると思う。音楽が一切使われないので、見終わった後の音の印象が食器がぶつかるような環境音ばかりだったのも独特な後味だった。
海の近くで談笑する茂之と土屋の2人だけがこの映画の中で唯一大人に見えた。