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スケアリーストーリーズ 怖い本のniwajunのレビュー・感想・評価

3.5
アメリカ社会への痛烈な批判が隠されている作品。監督はトロールの人。ギレルモの映像体験は控えめです。でもメッセージをまとめる力は非常にあると感じました。
ギレルモ×ホラーを楽しみにしている人、純粋なホラーを期待して観る人は肩透かしを喰らっちゃうかもしれません。

映画に対して娯楽性だけでなく、なんらかのメッセージを求める人が楽しめる映画だと思います。


この映画を観た個人的な感想は、物語の持つ良い力を信じたいと思いました。


映画の内容にはほとんど触れず、個人的解釈を書き綴ります。
先入観無しで見たい方はこの先は映画をご覧になってから読んでいただけると良いかと思います。










※スケアリーストーリーとは何か?
これはずばりメディアの洗脳でしょう。
本来は事実があって話が生まれていくもの。しかしスケアリーストーリーは
話が先にあって事象が生まれてしまう。。本来と逆の因果関係が起こっているのがスケアリーストーリーですね。
これはお話の中の世界だけではなく、まさに現実世界でも同じことが起こっています。マスコミが不安を煽り、恐怖のストーリーを作り上げる。もしくは意図的に不都合な真実を隠してフェイクニュースを作る。するとあら不思議、事実では無かった事が現実に起こってしまう。そんな例は枚挙をいといません。
作中本に名前が書かれる人の行動はメディアによって殺されていく象徴的な人々でしょう。同時にこの映画が伝えたいことは、ペンは剣より強し。ステラちゃんの行動が象徴するのは真実を伝えるジャーナリズムへの信頼であり、この話のテーマでもあります。


※1968年という時代にしたのはなぜか?

原作は怖い話の寄せ集め児童書。それぞれの話は特に時代設定はされていないようです。しかし、映画の舞台は1968年。
なぜこの時代、もっと言うならこの年を舞台にしたのでしょう??それは絶対にこの年設定で無ければ伝えられないメッセージこそがこの映画のキモだからです。

2020年の今と1968年のアメリカ社会は酷似しています。
1968年は動乱の年と呼ばれ世界各地で暴動や大規模デモ、暗殺などの大事件が世間を震撼させました。ベトナム戦争への反戦デモ、黒人運動家マーチンルーサーキング牧師の暗殺に伴う全米各地での人種暴動。アメリカ人黒人選手がメキシコ五輪で拳を突き上げ「ブラックパワー」を誇示。動乱の1968年のシンボルになりました。※一部wikiより抜粋。

近年トランプ大統領はニクソンのよく使っていた言葉「Law and Order(法と秩序)」という言葉を多用しています。
この1968年の大統領選を制したのは誰か?
作中ではテレビがプチッと切れて1968年の大統領選で誰が勝ったか分からないんですね。興味ある人は調べてみると良いです♪

でもせっかくケータイとかがない1968年を時代設定にしたんだから、もっとケータイが無いならではの脚本も見たくなるのが映画好きの欲張りなところですねw


※ステラちゃん
ゾーイマーガレットスコッティ
少し幼く見える顔立ちですが立派な大人になりましたね。ファッションやらなんやらオシャレ。
彼女は真実を探し出し、血をインクとして真実を伝える者。正に真のジャーナリストかくあるべしといった姿でしょう。


という事でこの映画の続編は現実世界のアメリカ大統領戦です!さぁ、ステラちゃんは物語の力を正しく使って友達を助ける事は出来るのでしょうか!?乞うご期待です♪




追記
脚本のギレルモデルトロは、インタビューで、「1960年代にしたのはもっとも効果的だから。今は政治は腐敗しているし、ホラーは現実社会を映し出す上で最大のツールなんだ」と語っていました。上記考察、案外遠からずなのでは無いでしょうか♪
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