不思議な映画。めちゃくちゃ面白い。コメディでもありホラーでもあり、色んなジャンルが合わさって揺さぶられる感じ。
***ここからネタバレになってしまうけど、***
貧困一家の策略家ぶりがかなり面白い。長男のみならまだしも、なんと家族全員が瞬く間に富豪一家に寄生。富豪一家は、そのことに全く気づいていない。
富豪一家がキャンプに出掛けた夜、貧困一家がリビングで宴会を始めるシーンあたりからの緊張が凄かった。これから絶対に何か起こるという高揚感。でも、せいぜい富豪が雨で急遽帰ってきてしまうぐらいの想像しか出来ていなかった。
とんでもなかった。そこからパラサイトのパラサイトまでもが判明し、パラサイト同士のバトル勃発。色々やってるけどここ他人の家だよね？ という突っ込みをよそに、忘れた頃富豪が帰宅。
終始とても秀逸だなと思ったのが、なんかコメディとすれすれの所で大事なことを投げてくる所。富豪から急遽帰宅すると連絡があった後、スライディングでテーブルの下に入ったり、地下に突き飛ばされて意識不明の人が出たりまでは完全コメディなんだけど、
その流れでイ・ソンギュン演じる富豪がソン・ガンホ演じる父親のことを「臭い」というシーンがあって。そこを笑いにさせなかったというか、笑えないよね…と一度はっとさせる感じが凄い。
その時のソン・ガンホの表情って、格差に対する無力感だったり、地上で暮らす富裕層への妬みだったり、負けてたまるかという奮起だったり、生きていくことへの絶望だったりっていうのを一瞬で表現するものだった気がした。
いくら品のあるタクシードライバーを演じようと隠せないもの。地下で雑草のように生きる者だけがまとう臭い。地上と地下の格差。
見終わった後かなりの余韻が残る映画だった。
