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パラサイト 半地下の家族のamuのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

公開当時からカメ止め臭が半端なかったので(ネタバレ禁止・前情報入れない方が良いという意)、周りで観に行ってきた!という人に出くわす度、頼み込んでネタバレを阻止してきた。それでも、「え~そうなるんだ~って感じ!」と言い放った輩がいたもんで、もうその一言だけがめちゃくちゃこびりついていた。だから終始、騙されませんよ~?とか、夢オチは止めてくれよ~とか、観ているものの反対が起こるのではと警戒しまくってしまった。まぁ、そんな心づもりを持ってしてもとにかく展開が凄かったのだけど。

バレずに済むわけは無いんだけど、この手の設定はなんだかいつも頼むバレないで欲しい、、と思ってしまうこの感情はなんなのだろう。平和主義てことでよろしいでしょうか。(?)

さて、。私、基本的に邦画派であり、全体の1割くらいしか洋画に手はつけないのですが、その洋画の中でも特に観ないし縁のない韓国作品。かつて「あゝ、荒野」のヤン・イクチュンすげー!ってなった時に彼の監督主演作品を観た以来の韓国映画。ドラマもアーティストもカルチャーにも興味が無い国。キムチとチヂミは好きですけど。

で、とにかくよく知らないわけです、韓国情勢を。先程書いたヤン・イクチュンの「息もできない」もノワール感溢れる下層な部分を前面に出した作品でしたが(内容はもちろん全く違いますが)、この「パラサイト」もコメディと言っているけどすごい根底が暗く根深いものだし、クローズアップしようとしないだけで日本も東京都内だけで話作れるくらい港区と足立区を画にしたらこうなりますよね、と思ったので、韓国は貧困の差が激しいと聞くけど、日本もそう変わらないのではとも思う。つまり、政治的にも日本は見栄っ張りというか、後ろめたいことを全部「問題は解決しております!」とひた隠しにしてしまう感があるけど、そこに真っ向からぶつかり作品にし、またその見せ方、展開の妙がブラックコメディとしていて、高度な作品に仕上がっており、何より根っこが暗い!という部分がカンヌらしく、パルム・ドール獲るわなそりゃ、という作品だった。

個人的に、画の色味がとても好みだった。淡いミントがかった色。いい淡さと鮮明さのバランスでなんか良かったです。

お金持ち一家にバレる以前に、カテキョ紹介してくれた友達にバレることを何より恐れてしまった私ですが、そんなもんじゃ無かったですね。笑

仲良きことは美しきかなよろしく、半地下の貧乏暮しでも家族みんな明るくいようぜ!とやってきたけど、その実やっぱりコンプレックスあったんですね、、そりゃそうか、、。だから、家のご主人が車のキーを受け取る際、鼻をつまんだことでお父さんの向ける刃の矛先が変わったのかなと思った。なんかあいつ地下鉄臭する、加齢臭ていうよりドブみたいな(そこまで言ってない)という夫婦の会話、気にしてたんだな、、って。人間だもの普通に傷つくよねそりゃ。

意外なところでモールス信号がキーになっていたりして、最後綺麗に着地した感。全体として私は特に笑いも感動も無かったけど、ここまで展開の妙を見せつけてくれる作品も最近無かったので、おお?面白くなってきたぞぉーとは中盤まではわくわくした。これ、後半ちょっと雰囲気変わりますよね?

公開当時、アルバイト先のカフェでもめちゃくちゃ話題になっていて、日銀に内定もらっていたお嬢様な大学生の子がこの作品にとても興味を示していたことをふと思い出したんですが、彼女これ観てどう感じたのかな、、って今更ながらちょっと気になりました。
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