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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のTagTakのレビュー・感想・評価

4.0
ポップでキッチュでレトロなウェス・アンダーソン世界を大いに堪能。画面構成力やカメラワークは相変わらず優美。手描きアニメや演劇然としたセット撮影を導入した遊び心満載なシーンが、目を楽しませてくれる。
モノクロ・スタンダードサイズを基調とした画面構成が、これまでのアンダーソン作品と大きく一線を画す。だが、ここぞというシーンで、シネスコサイズや色彩豊かなカラーに変化することで、クリエイティブな画面がより強化され、“空間が広がる快感”をもたらしてくれる。ベネチオ・デル・トロの壁画がお披露目されるシーンにおける、暗闇の画面→シネスコのカラーへと切り替わるシーンが顕著。
3つの物語がオムニバスにより語られる構成の中で、ティモシー・シャラメのエピソードは突出していた。演劇の上演を映画にしたようなスタジオ撮影により、流麗なカメラワーク、建物のセットが大規模に移動する箱庭感など、漲る全能感。美しいものしかない世界に心が凄く染みる。
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