JM

家族を想うときのJMのネタバレレビュー・内容・結末

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アットホームな心温まる家族愛が感じられる映画でも観てホッコリしようと思ったら全然違ってズッコケる。だが心に突き刺さる映画。

今更ながら初めて知ったケン・ローチ。
労働者階級や移民、貧困などの社会問題に焦点を当てた作品を製作している。
是枝裕和監督が師匠と仰ぎ最も尊敬する人物。なるほど、描く内容が似てる。

自分の心に刺さるのは、まさに自分の生まれ育った家庭ももれなく労働者階級だからだろう。

本作の両親は善良な一般市民。お母さんは穏やかで愛情がありとても優しい。
お父さんは本人が言う様に、腕っぷしは強いが頭は弱い。2人とも懸命に働き、より良い生活をと頑張ってる。子供達への愛情もある。だが仕事に忙殺され、生活は良くなるどころかどんどん荒んで行く。。。

何でもそうだが「努力の方向性」を間違わない様にしないといけない。
1日16時間、週6日、水溜りに釣り糸を垂れていたって魚が釣れるはずが無い。。
あんな条件のフランチャイズなんて、メリットがあるのは本部か、若く独身でバリバリの体力自慢くらいだろう。本作のお父さんには無理がある。

同じ目的地へ向かうのに、綺麗に舗装されたアスファルトの上をスポーツカーでかっ飛ばしてる人達から見れば、何故あんな泥沼を一生懸命マラソンしてんだと思ってしまいそうだ。。

心が荒んで来た息子の万引きで仕事を邪魔されてしまった父親だが、あの警官の熱い言葉に救われただろう。

ハネケさんほどじゃないが最後まで救われず、いたたまれない気持ちになった。
が、観て良かった。本作を反面教師に、学べる事を学びたいと思う。

ケン・ローチの他作品も見てみたい。
まずは「わたしは、ダニエル・ブレイク」でも。
JM

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