デニロ

シチリアーノ 裏切りの美学のデニロのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

イタリアマフィアの抗争物で本場ものの迫力、とどこかで読んで出掛ける。152分。行くんじゃなかった。新旧マフィアのボスたちが休戦を企図するパーティを開くファースト・シーン。おっ、血のバレンタインか、と思ったものだったが。

主人公はコーザ・ノストラのボスに可愛がられ、血の掟、忠誠心、暴力で地位を確立するも権力を欲せず、一兵卒を自認する。どの社会でもそうした奴が一番面倒くさい、ということは衆目の知るところだ。日本では20年くらい前、自ら一兵卒を自認した政治家がいた。もともと権力を手中にしていたのだが、次から次へと構想雲の如く湧きたち居てもたってもいられなくなるのか一つところに止まれない。紆余曲折あり小さな集団となるも、起死回生、その集団を明け渡し大に呑まれ一兵卒を自認する。そして数年後、その集団に欠かせぬ人となり頂点を任され、権力を奪取した。その後転落し幾星霜再び一兵卒を自認し権力を狙う。どんな政治をしたいのかとんと分からぬ人だが、そんな人物の話も面白い。

さて、イタリアの一兵卒。ストーリーに付いて行けないが、何らかの理由で危険を察知し逃亡先のブラジルで情勢を見守るも、信頼していたボスに裏切られ途方に暮れているその最中、ブラジル当局に麻薬取り扱いで逮捕される。本作で一番最強なのはブラジル当局。主人公への拷問は言うに及ばず、彼の奥さんをヘリコプターに乗せ吊るすのだ。その姿を彼に見せ、吐けと。ブラジルで捕まるとあんな仕打ちが待っているのかと思うと、怖い。本作はブラジルで公開されているんだろうか。

派手な抗争があるのかと思いきや、後半は、イタリアに送還された彼が当局の協力者になっていく話が延々と続く。これが長いんです。

エンドロールで実在の主人公のフィルムが写される。え、実話をベースにしてるんだ。道理でドラマチックじゃないな。お決まりの登場人物のその後を紹介。70年代、80年代のイタリアの国情を知っていればアンドレオッティの件も理解できるのだが、名前しか知らない。そういえばあの頃のイタリアは首相がよく変わっていたっけ
デニロ

デニロ