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糸のamuのネタバレレビュー・内容・結末

(2020年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

公開時、交際は報道されていたけれどまだご結婚前だった人気ツートップカップル主演による「泣きたい人向け!泣かせます映画」でござい~。

タイトルにもなっている、というかタイトル曲の歌詞を元に構成されているので仕方ないのですが、そもそも私は中島みゆきさんが好きじゃないので何ひとつ響くことなく、劇中のファイト?という歌もなんか嫌でした。薄そうな作品だなとは感じていたけれどその薄さが思っていた以上に酷くて、違う意味で泣けてきました。この寒さは「涙そうそう」と同じラインです。鑑賞ターゲットは中学生カップルなのかな?

主演のお二人をはじめ、斎藤工さん、成田凌さん、二階堂ふみさんなど好きな役者さん揃いなだけに、この全て取ってつけたようなストーリーが寒々しくて勿体ないを通り越し、残念過ぎて腹立ってます。笑

色々あって、それぞれがそれぞれの時間や人生を歩んで来たけれどずっとあの中学生の時の恋心を大切にし相手を思い続けて、途中、東日本大震災があったり、結婚したり、友人が離婚したり、奥さんがガンになったり、子供を産んだり、亡くなったり、時代が平成から令和に変わったり。それでもお互いを毎日毎日想っていたか?違ったよね。違わなかったら、榮倉奈々さん演じた奥さんとの日々は何だったのかと思う。あくまで菅田将暉さん、小松菜奈さんが演じた二人の離れ離れでもずっと想い合い、強い絆(糸)で結ばれていると言いたいのだろうけど、地元が一緒で共通の友人が地元にいるという糸なだけなんじゃないか?そりゃ再会の可能性はゼロじゃないよね。

ケチをつけたいわけではない。むしろ泣かせて欲しかったです。いい話だと胸を締め付けられる思いをさせて貰えるかと思ったのにあまりに浅くて薄くて本当にガッカリでした。

薄いのはストーリー土台から全部まるごと薄いのですが、細かいところで言うとBGMのタイミングとしつこさ。また、シチュエーションコスプレとしか思えない様々なファッションや制服で登場させるところなど。ここまで来ると中学生時代の母親の恋人から受けていた暴力になど何の意味も無かったように思う。ご飯を提供してくれるお婆さんがいる家をキーに使いたいだけのために存在したシチュエーションというか。

あ、そうそう。そのお婆さんもなんだか中途半端に情報を喋ったり喋らなかったり余計なお世話感が強かった。奥さんが亡くなったことを伝える必要あったかな。

あとこれは展開上のことについてですが、斎藤工さん、消えすぎ。笑
ここにいると思った~ って、沖縄のどこぞの海岸まで追いかけて一発で見つける小松菜奈さん。よっぽどすごい糸ですよね。

小松菜奈さんが演じた女性は「世界を飛びまわる」のが夢だった中学生時代の菅田将暉さんが叶えずに「普通の暮らし」を選んだ代わりに私が!というつもりなのだろうけど、北海道から沖縄に移住したのは斎藤工さんを追ってのことで、キャバ時代の友人に誘われてネイリストとしての夢を叶えたシンガポールも、シンガポールだけで世界を飛び回ってはいない。運転手の彼との糸の方が菅田将暉さんと過ごした時間よりよっぽど濃かったとも思える。中学生時代の恋を引きずっていたのは菅田将暉さんの方だけだったし、なんかもうとにかく話が薄い。

久々に不平不満しかない作品で、主演の二人が好きなだけに本当に残念でならないです。でも。監督は違いますが「溺れるナイフ」も大概でしたし、「ディストラクション・ベイビーズ」の距離感の方がお仕事の上では合っているんじゃないかな。二人を恋人とかにすると大人の事情なのかセンスの無い、寒々しい作品に登場させられちゃうので。
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