りょう

ハロウィン KILLSのりょうのレビュー・感想・評価

ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)
3.6
 2018年の前作から直結して、しかも当日の1晩のできごとでエンディングまで描くという構成がよかったです。1978年の回想シーンは、オリジナル版で描かれなかった場面を補足してくれるので、物語の理解がすすみました。すべてのシーンが“夜”というところも徹底しています。
 序盤で炎上するローリーの自宅からマイケルが生還しますが(この映像が妙にカッコいい)、火災の生存者である彼を救出しようとした消防隊員を無慈悲に惨殺するのは…。マイケルのパーソナリティを表現していたのかもしれませんが、いくらスラッシャーというジャンルでも倫理的にアウトです。
 中盤から社会派映画のような展開に戸惑いましたが、狂暴化した群衆とマイケル、その傍らで被害者になってしまう精神障がい者という構造は、アメリカが他国の紛争に軍事介入してきた歴史を振りかえっているように思えました。こういうタイプの映画の表現としては賛否あると思いますが、あの自警団の末路を含めて、なかなか示唆的な展開がよかったです。
 その結果でもありますが、マイケルと対峙する登場人物の主軸がぼやけてしまっています。ローリーは瀕死の重傷だし、娘のカレンが活躍して、またまた終盤でマイケルを欺いたりしますが、少し登場人物が多彩で消化不良でした。オリジナル版と同一キャストもいたようですが(40年以上経っているので判別つかず)、前2作とのつながりが意識されすぎていた印象です。
 3作目は、親子3代で孫のアリソンが主人公になるのでしょうか。エンディングのカレンの描写も意味深だったし、マイケルが不死身な理由もわかりはじめたので、これをどうやって完結させるのか…、過剰な期待はありませんが、なんとなく面白そうです。
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