カタパルトスープレックス

呪いの館のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

呪いの館(1966年製作の映画)
3.6
独自の色彩感覚を持つマリオ・バーヴァ監督のセンスが爆発したロジャー・ディーンの絵画の映像化のような作品です。これの評価ポイントはマリオ・バーヴァ作品として観るか、普通の映画として観るかでしょうね😂

マリオ・バーヴァ監督の特徴は1)独自の色彩センス、2)ゴシック趣味、3)顔芸の三つだと思います。これらのマリオ・バーヴァ監督の独自のセンスを楽しむにはすごく良い映画だと思います。ぶっちゃけ、ストーリーはどうでもいいと思うので、特徴だけ解説します!

1)独自の色彩センス
最近、サイケデリックな色彩センスの作品が増えていますよね。ニコラス・ケイジ主演『マンディ/地獄のロード・ウォリアー』もそうですし、ニコラス・ケイジ主演『カラー・アウト・オブ・スペース/遭遇』もそうですし。あ、両方ともニコラス・ケイジ😂。もう直ぐ日本でも公開される『VFW』もそうですね。その源流を遡ればマリオ・バーヴァ監督にたどり着きます。

この独自の色彩センスは屋内ロケ(+色彩照明)でより強調されるのですが、本作では屋外ロケも多いのが特徴となります。野外シーンでボクが思い浮かべたのがレッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリン IV』とザ・フー『フーズ・ネクスト』です。そう、やっぱりロックのアルバムジャケットなんですよ。

2)ゴシック趣味

今回もしっかりとゴシック趣味です😂人形や石像や絵画などなどなど。呪われたグラプス邸ですが、ゴシック趣味の人は絶対一度は行きたいですよね!ボクも呪われたくないけど、行ってみたい!😂

しかし、今回もファッションですよ。舞台が19世紀後半なのですが、エズウェイ検屍官(ジャコモ・ロッシ=スチュアート)とクルーガー警部(ピエロ・ルッリ)のロングジャケット。あれ、いいなあ、欲しいなあ。

そんなゴシック趣味満載のグラプス邸でエズウェイ検屍官が無限ループの追いかけっこをするシーンがあります。あれって、デヴィッド・リンチ『ツインピークス』の「赤い部屋」っぽいですよね。

3)顔芸

今回はあまり「顔芸」がなくて残念です。驚かし役が白い服の少女だからでしょうね。「怖い」より「かわいい」が勝ってしまう。この白いボールを持った白い服の少女の元ネタはオムニバス映画『世にも怪奇な物語』(1967年)のフェデリコ・フェリーニ監督による『悪魔の首飾り』です。死に導く悪魔が白いボールを持った白い服の少女なんです。

この『悪魔の首飾り』に出てきた女の子の方が「顔芸」では勝ってるんですよ。マリオ・バーヴァ監督は本作でフェリーニの元ネタを超えることはできませんでした。残念!

ちなみに、ボクはかなりのビビリで恐怖映画は苦手ジャンルなのですが、マリオ・バーヴァ監督作品は全然怖くないので、ビビリの人にもオススメです。(怖くないから大丈夫!ってホラー映画にとっては褒め言葉なのか?🤔)