このレビューはネタバレを含みます
未完のまま絶筆となったあまりにも有名な太宰治の「グッド・バイ」が基となった作品。
幾人もの愛人と別れを告げる為にとったある男の喜劇的な作戦。
愛はお金では買えないという台詞はよく聞くが、お金に換算できる愛は本物ではないというのが本質に近いのではないかと思う。
だからと言って本当の幸せがお金で買えないのかと言うとそれもまた真実ではない気もしているが、愛がお金を凌ぐということはどうやら事実として存在するようだ。
グッドバイという題名なのだが、人含め命は生まれた時点からもう着実に死に向かっているというなんとも悲しきモノである。つまり常に誰かあるいは何かと出会うとしたら、その時点から別れが始まっているという視点だ。
人の人生、幸も不幸も価値観や習慣だって様々。出会い共に喜び、共に悲しみ、時にいがみあうこの瞬間も別れがあるのだと思うとどこか虚しく儚くそして愛おしい気持ちになる。
あなたは誰と出会いどんな別れを想い描きますか?
そう問いかけてくれているような、そんな作品だと私は思う。