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エスケープ ナチスからの逃亡のmhのレビュー・感想・評価

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ナチスドイツの魔の手からノルウェー・トロンハイムに住んでいたユダヤ人が逃亡する話。
序盤こそ説明的なセリフ、プロットが多くて気になるんだけど、本編のほとんどを占める地方農家に舞台が移ったら、そんな気にならなくなる。
物語の推進力がついたからというより、戦争を背景化して身体障害者の息子を抱えた農家のソープドラマにしたのが良かったんじゃないだろうか。
序盤のカラフルな街並みが意外で良かった。現代の町をそのまま使ってるんじゃないだろうか。そのせいで、「ヒトラーに屈しなかった国王(2016)」でやってたオスロは50人で制圧できた(から、トロンハイムはもっと小さな町なはず)ことが、うまく伝わってこなかった。
父親が理髪店やってる家族なんだけど、調度品があからさまに豪華なのは、なにか演出意図があったんだろうか。
ユダヤ人が床屋やってるのは、「チャップリンの独裁者」にも「SHOAH ショア」にも登場する。
「ジャージー・ボーイズ」など、アメリカのマフィア映画でも幾度となく見てきている。
ユダヤ教の割礼にも関わっているとのことなので、民族を象徴するような職業なんだろうね。
雪国が舞台の逃亡ものということで、「ザ・ハント ナチスに狙われた男」とか「ミーシャ/ホロコーストと白い狼」に絵面が似ていた。
エンタメ映画にアイヒマンを実名で登場させる思い切りの良さがいいね。
戦後の短髪女性は元対独協力者(市民からのリンチあったため)という図式は、何本かこの手の映画を見てないとわからんよね。序盤はやたら説明したがっていたくせに、終盤はまったく説明しない不思議なバランスの映画だった。
これはこれでけっこう面白かった。
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