mono

すばらしき世界のmonoのネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

西川美和さんほんとすき。
あたたかい人たちのあたたかさの量と質が絶妙。
あたたかい人がたった1人しかいなかったら、
その人がその時に助けられなくて少し拒んだだけでも、全てを拒絶されたように感じてしまうんだろうな。
そこらへんのシーンがとても苦しい。
自分でもダメだとか良くないと分かってる。
それでも止められない自分のどす黒い感情は、一度出してしまうと
もうどうでも良くなってしまう。
その時に、
また手を差し伸べてくれる人(極妻やが)いて本当良かったと思う😢あそこのシーン含め、こんな絶望的な世の中にも希望の光があることが描かれててそこがまた良きー😭

三上は子どものように純粋で優しいので、一緒にいたつのだとかも、逆に救われたりもするだろうし
みんな惹かれてしまう気持ちが分かる。
ではそうではなく、もっと周りの理解を得られないような特性を持った出所者たちは
この世界では三上よりもっと絶望だらけなんだろう…
そういう人間を排除し続けて残るのはいったい誰だろう。

介護施設の彼らもまた、あそこのシーンでは彼らの一面でしかなく
あーしてたくさんの人の前で他人を貶める要因の一つにもきっと
"すばらしくない世界"が理由にあるんだろうと思う。
だからと言って、なんだけど。
でもどうしてそういう事をしたのかの理由は、多分障害を持った人と一緒に過ごす当事者にとっては
"辛い"と共感できる理由だったと思ったし
周りで笑ってる人が全員、あの男性と同じように馬鹿にしてるかどうかはわからない。
だって、三上だって心を殺して
"似てますね"と笑ったのだから。
あそこのシーンは本当に絶妙と思った。
小さな頃は学校から、大人になったら会社や地域の集まりなんかで
絶対あーいう人っているので。
その時に、真っ向からやはりその人を正す事はできないし
もはや正す事が"正しい"のかどうかも分からない。
笑ってやりすごすしかない事がたくさんある。
(でも、いじめの現場見た時も思ったけど、それを上の立場の人に報告しやすい社会作りが大切だって本当感じた😭😭)
それもまた、自分の心を守ることに
繋がってしまうから残酷だ。
自分を守りながらも、自分の心を傷付ける。
あーいう構造ってきっとアイヒマンに繋がるんだよねって思う。

私の両親が経営している障害者支援施設に、実際に
重大な加害を起こした人を
刑務所時代から何度も面接して、施設に入所してもらうことがありますが
それ相応の、本当に
とてつもない大変さがあるわけで。
そうして本来であれば、人を助けたいと思って福祉を選んでいる人が
人を傷付けるようなことを言ったりやったりしてしまうことも
あるんだろうと思う。
百合園思い出したり。単純に福祉は大変な仕事なんだよ。
それほど、加害者支援って苦しいし大変だよね、、
それでも、どれほど支援が大切なのかっていうのがヒシヒシと
本当にヒリヒリと伝わってくる映画だった。
改めて西川美和さん大好きだ。
ただ一つだけ…
まるでこうなったのは生育歴だけのせい
みたいなのは
苦しい。そう描いてるわけじゃないのかもしれないけれど…
母としては、社会がまた母だけに責任を押し付けるような描写は入れんでほしいのです。
だって父親が確実にいるわけなので。同罪よ。
そんな母たちを、攻撃する社会も。
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