パンダまん

花束みたいな恋をしたのパンダまんのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

歩幅が合わなくなって、考え方は似ていたと思ってたはずなのに、すれ違っていく二人。
2人のために頑張ってるはずなのに独りよがりで自分の事かと思った。
仕事と私のどっちが大事?という質問は昔からギャグだと思ってたけど、責任感を感じて経済的に支えなくてはと頑張る人には、必ず通ると言っても良いくらい割とある事だと思う。
そんな中、これからを決める様な大事なことすらも話せていないくらい、一緒にいるのに別々な感じが泣きそうになった。
話し合って進んで行けなかったり方向も違うとしたら別れるのは正解なのかもしれない。
一緒にいたいと思ったら自分が変わる事はもうできなかったんだろうか。
ご都合主義じゃない、若くて柔軟性が無くていっぱいいっぱいな主人公が現実的過ぎる映画だった。

他の誰かと過ごして、思い出すくらいでも綺麗な想い出のうちに別れた方が良かったんだろうか。
独特な後味のラストだったけど、変に夢を見ない人間関係を見られて良かった。

好きになって趣味を一緒に楽しむ恋人から、生活を共にして助け合う夫婦にはなれなかった2人。
責任感の強いけどどこか自分の考えに固執する事がある主人公は、大きくなる想いを1人で抱え込み過ぎて、その重圧でパートナーを顧みる余裕さえ失った。
社会性は、芸術性がある人間の敵と友達が言っている描写があったけど、これまで拒んできた社会に気持ちでいきなり染まるには、主人公は柔軟性が足りなかった。
彼女も資格をとり安定した職に就いて趣味を楽しむ余裕はあったけど、コミュニケーションのなくなった生活に楽しみを見いだせなくなってしまった。
2人で助け合って生きるならそこまでがんばる必要があるのかわからないけど、2人にとって大切なものが何だったのかを話し合えていたら未来は違ったのかなと思った。
長くいたらどんなに好きで一緒にいても辛いことはあると思うけど、解決していく努力が出来るか、その余力が残せるかは大事な気がした。

恋は歯車が噛み合ってはじまっていくことかも知れないけど、主人公が目標だと言っていた、その気持ちの歯車を維持する為には、意思を持って偶然に任せないながらも、今を大切にしてお互いを思い遣ることを忘れたらダメだったかもしれない。
独特の感性で引き合った2人が、社会の荒波に揉まれて、感情が潰れていく様子は見ていて辛かった。
もう少し環境や人に恵まれていたら違ったと思うし、東京社会で、理不尽に荒んでしまうというのが、現実の厳しさなのかもしれないけど結構闇だった。
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