華麗なる加齢臭

藁にもすがる獣たちの華麗なる加齢臭のレビュー・感想・評価

藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)
4.8
【港町とエンドロール】
面白かった。
もう一度書きます。面白かった。

何度も書いているが、日本国内の興行成績ベスト10はアニメだらけであり、当然競争が働きアニメでは良作が生まれる。
韓国映画のそれは全てが劇映画だ。故に競争は激しく、構成、美術、芝居どれもが邦画の水準を超えている。

この作品、ロケ地に2ヵ月かけ、平沢市という人口40万人の港町を選定したそうである。そのかいあってか、この作品の良さをより際立たせる舞台となっている。
たかがロケ地であるが、例えば札幌や小樽を舞台としながらも関東で撮影された「日本で一番悪い奴ら」(2016年)は、道路の幅や風景があまりにも舞台とかけ離れており、興ざめ(他はよかったのに)だった。

そもそもロケ地に注力するということは、芝居や美術に手を抜くはずがなく、ありえないクライムサスペンスであっても、妙にリアル感が伝わってくる。

さて、この作品で東洋一の薄幸女優チョン・ドヨンが、性悪女を演じ、意地悪婆さんをさせたら世界一のユン・ヨジョンは認知症の高齢者。

この二人の組み合わせはで「ハウスメイド」(2010年)を思い出した。「ハウスメイド」は韓国の怪物監督キム・ギヨンの代表作「下女」(1960年)のリメイクだが、この二人を観て韓国映画の系譜をかってに感じたのだ。

そして、極悪非道の闇金社長を演じるのは、チョン・マンシク。あの名作「息もできない」(2010年)でも残虐と人間味を持ち合わせていた闇金社長だったが、はまり役!。存在感のあるバイプレーヤだった。

とダラダラと感想を所感を書いてしまったが、ロケ地選定から「見事なエンドロール」まで手抜き感を全く感じないクライムサスペンス。これが韓国映画のクオリティだ。