小林健太郎

子供はわかってあげないの小林健太郎のネタバレレビュー・内容・結末

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

自分は原作漫画がかなり好きな作品です。なので、単に映画の評価というよりも、実写化の評価になっていると思います。

映画の中で「簡単に映画化するんじゃねーよ」みたいな事を言いますが、これ見ていて「それはこっちのセリフだ」と思いました。映画を見ていて、見ているのが辛くなる、苦痛だったのは初めてです。

原作からかなりいろんな要素を削り、変更した挙句、不要なものを加えて、2時間14分の上映時間はとても長く感じました。

原作の持っている空気感とセリフ回し、絵としての表現は、マンガの中だから成立するのであって、それをアニメならまだしも、実写映像では難しいということは。だから、多少は手が入るのは仕方ないと思っていた。

だけど、一番許せなかったのは「人は、教わったものは教えられる」の話。これ、原作読んでいた時にすごく腑に落ちて、なるほどなぁって思ったいいセリフなんです。作中でも、教祖のお父さんが、人の頭の中を見ることができる能力を、教団の人たちに教えられないっていう悩みがあった。

で、美波が門司くんから「人は、教わったものは教えられる」っていう話を思い出し、別の件(近所の女の子の泳ぎを教える)で、それを実践。無事に女の子は泳げるようになる。それを美波が教祖のお父さんがする。お父さんは、人の頭の中を見る方法を美波にも教えられなかった時に、さっきの言葉を引用して「だから教えられなかったんだな」って納得するっていう話なんですよ。

なのに、映画では美波がお父さんがにその言葉を伝えて、お父さんも納得した後なのに、「頭の中を知る方法を教えてよ」って美波が言うのは、全然話として成立しないじゃんか。って憤慨していました。

これ、この作品でいくつかある重要な会話の一つですよ。現場の脚本で、この流れでOKが出ているのかさっぱり分からなかった。


原作にある「狂犬 千田くん」のエピソードも削ったから、エンディングの告白シーンでなんで笑ってしまうのかが弱いし、そもそも二人がスキになる理由も全然弱い。

だから、原作知らなかったとしても、映画として「これはなんの映画だったのだろうか?」って思ってしまうのではと感じました。