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ファヒム パリが見た奇跡のkassyのレビュー・感想・評価

ファヒム パリが見た奇跡(2019年製作の映画)
3.6
オンライン試写にて。

バングラデシュからパリへと亡命する親子2人。天才チェス少年のファヒムは、難民として暮らしながら、仲間と先生達に支えられてチェスのスクールに通うことに。しかし亡命はなかなか認められず…

実話を基にした作品。
パリには数多くの難民がいるが、その裏側にこんなに夢を持って来る人もいるのだなぁと感じさせられる作品。

ただ、チェスに対する知識がないので、映画としての緊迫感を感じることができないのがこの映画を見ていて歯痒いところ。
チェスでトップを取らなければ、親と離れ離れになる。そんな焦燥感と緊迫感があまり映画から感じ取ることこが出来なかった。
チェスにフォーカスするのか、難民の人権についてフォーカスするのか、その辺りがややボケてしまっていたようにも思うが、全体的には面白い作品にはなっていた。

難民の少年がメキメキとフランス語を上達し、スクールに溶け込んでいくのは面白いが、バングラデシュの文化がなかなか相容れないのも興味深い。

印象的だったのは、フランスの役人に移住申請する際にフランス語が話せない為通訳がつけのだが、その通訳が出鱈目の通訳をする事だった。それは理由あっての事なのだが、それは国同士の対立や難民同士の対立もあるのだという事にハッとさせられた。

難しい難民問題。難民に想いを寄せているフランス人もいる事だろう。沢山の歯痒い思いを抱いている人に勇気を与える作品なのではないか。
フランスは人権の国なのか?それとも人権を宣言しただけの国なのか?
フランス映画ならではの問題提起だったように思う。
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