ダイゴロウ

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のダイゴロウのレビュー・感想・評価

3.9
三島由紀夫の熱量のほかに、冷静さと優しさを感じることができた点が特に良かった。
作品として対立構造になっているものの、必要以上の野次が飛ぶこともなく、お互いにリスペクトしながらの討論である点で、鑑賞に足る作品になっている。

赤ん坊を抱えた状態で討論する若者(芥)がまた印象的。
(全共闘側も一枚岩でない部分が討論中に出てきた点には、学生らしさも感じた。)

自分の親類が当時の学生運動のせいで「本分であった勉強が十分にかなわず、苦い思いをした」立場であったとの話を聞いており、個人的に運動に肯定的な想いは持てないものの、"一部の学生の"熱情だけは本物であるように思われ、その点は羨ましく思った。

学生との共闘を拒否した三島は一年後に言葉の通りに行動し、自決する…。
この命を賭した偽らざる情熱と一貫した生き方には敬意を評しざるをえないように思う。