観光気分の見学者には、たしかに「それはないだろ」と否定したくなる。
ただ、わざわざ足を運んでいることもまた事実であって、彼らを無関心と非難することはできない。
折々、露悪的に映しとられる若者が気の…
厳格なフレーミング、観察眼冴え渡るフィックス長回し、目からの情報量を限定したモノクロ選択、ロズニツァの美学とやらに浸れた気がする。
飲食、通話、喫煙、何でもお構い無しのラフな空間に軽い衝撃。そりゃま…
「絵画ギャラリーを漫歩している人びとは、ここには絵しか掛かっていなくてがっかりだ、という思いを、うまく隠しきれずに顔に表している」(ベンヤミン「一方通行路」)
「気散じ」と即席のイメージ
でも、ゼ…
【ガイド不在で消費される負の遺産】
皆さんは、セルゲイ・ロズニツァ監督をご存知だろうか?
ベラルーシ生まれウクライナ育ちのこの監督は2010年代以降に製作した長編映画10作品が世界三大映画祭に選出…
モノクロ、フィックス、ワンシーンワンカットで、正直飽きもする。けれども後半割とカメラが個々人に寄って表情がよく読み取れるシーンが出てきた時、これはなにやらとんでもないものが捉えられているのではとハッ…
>>続きを読む「アウステルリッツ」を鑑賞。
ホロコーストの現場となった元強制収容所を観光するダークツーリズムを描いたドキュメンタリー映画。
惨劇の現場を訪れる観光客がスマホで撮影したりニヤケ顔で闊歩する様が映さ…
強制収容所、ナチス、ホロコースト。惨劇を記憶する場で人は集団ごと、ガイドに従い、順路通りに歩み進む。牢獄、ガス室、焼却炉。
光景の全きリアル。スマホで話し続ける女、カメラを構える男、ボトルで遊びだ…
このレビューはネタバレを含みます
[21世紀の"夜と霧"は無関心と改鼠の中に埋没するのか]
W.G.ゼーバルトの同名小説から題名を頂いたというロズニツァ通算20作目。小説の題名は内容及び歴史的背景を思い起こさせる象徴的な使われ方を…