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水を抱く女のkitoのレビュー・感想・評価

水を抱く女(2020年製作の映画)
3.4
大人のダーク・ラブファンタジーでなかなか良かった。

予告で好きなバッハのアダージョ(協奏曲ニ短調 BWV974 第二楽章)が流れ、俄然、観たくなった。また、先日観た「シェイプ・オブ・ウォーター」っぽさがあるのかなあ、という期待も。

「水の精ウンディーネの神話がモチーフ」とあり、この神話を知らなかったので一応、Wikipediaを読んでから観た。ドイツの作家フリードリヒ・フーケが1811年に中編小説「ウンディーネ」を発表、ゲーテが賞賛したこともあり、今なお長く読み継がれており、ドイツでは馴染みのある神話なのだと。「人魚姫」(1837年)を書いたアンデルセンがこの小説に影響を受けたと言っているそうで、となると可哀想な展開に確定フラグ。

現代のベルリンを舞台にウンディーネが背負う「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る」という宿命が描かれる。派手な特撮シーンはなく、すっかり現代のドラマに翻案されており、少しサスペンス・ホラー調に話が進む。大筋のエンディングは事前にわかっているものの、普通に先の展開が気になり、しっかり物語にハマった。

短尺なので物語はどんどん進んでいくのだけど、繰り返し流れるバッハのゆったりしたアダージョがこのドラマの哀愁溢れる雰囲気を決定づけているように感じた。
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