ごじゃ

スカイ・クロラ The Sky Crawlersのごじゃのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

色彩を整え、背景とキャラクターに同様の空気感を生み出すフィルターや、手描きのテクスチャを貼り付けた3DCG等、手描きの2D作画と3DCGを高いレベルで融合させるという絵作りの手法は前作と同じような方向性であると感じる。
しかし物語の語り方は攻殻機動隊などの押井作品とは真逆の手法をとっている。キャラクターのセリフや画面の密度で情報量を極端に高め、独特のリズム感を生み出していた前作までとは異なり、今作はセリフ・背景の密度両者とも制限されている。それにより沈黙のイメージが強く、それに伴い音の重要性がましており、セリフや物音一つ一つがより強い印象を伴って観客に届いているように感じる。
何度も描かれる既視感のある描写(新聞を畳む・レストラン前の老人・その他物語の場を制限することによる場所の既視感等)による繰り返しの印象、3DCGと手描きの融合という現実を志向しつつもズレのある奇妙で美しい世界は、永遠と繰り返されてきた本作品の日常を思わせる。

主人公の最後の一人語りは、変わり映えしない日常を生きる私たちに対する一つの答えなのではないかと思う。しかし、そう思いながらも運命を変えようとする草薙のためにティーチャーに挑む姿は人間の複雑に絡み合う感情を映しているような気がしてならない。
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