このレビューはネタバレを含みます
「ある職場」。実際にあったホテルチェーンのセクハラ事件を監督自身が取材しドラマ化。カメラ撮影がNGだったので劇映画に変更したんだそう。サラリーマンからしたら割と身近なテーマかも。
誰が被害者のことをSNSにリークしたのか、保養所に集う仲間から犯人探しをするというサスペンス的な展開から、次第にジェンダー問題、またさらに大きな問題へと推移していく。セクハラ被害に遭った女性を皆んな表面上は気遣いつつも、見え隠れする社員たちの本音。その会話がかなりリアル。
個人の人権よりも村社会のような「事なかれ主義」が優先される日本の病理的な社会構造。それが匿名で無責任に中傷出来るSNSと結び付くと尚のことタチが悪い。声をハッキリあげない限り、結局個人の人権はマジョリティという大きな波に飲まれ、闇に葬られる。
色の無いモノクロの映像は鬱屈した心情を表しているかのようで、終始モヤモヤ感。でもこういう社会問題を扱った映画はめっちゃ好み。
上映後、フリーアナウンサーの大橋未歩さんと監督が登壇。チケット代はちょっとだけ上がったけど、テレビ業界の貴重なお話も聞けてラッキーでした。