純文学を流し読みで3章分だけ読んだような感覚。要するに、いまいち飲み込めないというか、脈絡が掴みきれずにただ傍観している感じ。
青年ヨンホが抱える不安や焦りは言葉より寧ろ行動に出ていた。例えば過去の>>続きを読む
「生きてるうち孫を抱きたい」それも分かる気がする、なんてミスチルの歌の歌詞を思い出した。
コロナの影響で今までよりコミュニケーションがよそよそしくなったり、何をするにも気を遣うようになって、さすがに>>続きを読む
タイトルが秀逸!そしてこの憐憫を誘うジャケットも良い。すごく好みの作品。
同棲カップルが元妻との間に生まれた8歳の子をひょんなことから1ヶ月間預かることに。子どもが二人の間に入ることで擬似家族の体を>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
えーと、この作品のキャッチコピーは「全員サイコパス」で良かったのかな。
本音を言わずに「空気を読む」という行動へ疑問を呈し続ける濱口監督。その「空気を読む」シチュエーションの最たるものが結婚式の誓い>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
気付くか気付かないかくらいの下り坂なので、「?」「?」と違和感を感じながらも前に進んだ結果のような感じ。「わたし達はおとな」というわりには自立している訳でもなく、厳しい言い方をすれば「おとなごっこ」を>>続きを読む
神奈川県大和市を舞台にしたオムニバス映画。
神奈川県の真ん中に位置する県央地区の大和市は、野球の打順で言えば下位打線(同じ県央の地元厚木市はスタメンに入れるかも危うい)だからホームランなんて期待せず>>続きを読む
ジャケ写こわい。全体的に漂う不穏さにビビりながら鑑賞。『市民』を観てからというもの、舞台がメキシコってだけで何となく身構えるようになっちまった(て言うほど観てないけど…)
この映画は二項対立が印象深>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
アケルマン監督の劇映画で観た5作のうち、一番好みかも。心情を多くは語らないのに、主人公が抱えている孤独感が表情や所作から滲み出ている。個人的に心に響く感じでいえば『ジャンヌ・ディエルマン』よりもこの作>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
国、時代は違えど普遍的な親子間のすれ違い。親は子に対して愛するあまり理想を求め、子は親に対して無償の愛を求める。肌の色の違いと性差は価値観の相違を生み、父と娘の距離を更に遠ざける。
アケルマン監督は>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
Q.マットレス以外何も無い部屋に好奇心の塊のようなアケルマンが独りで籠ると一体何を始めるでしょう?
①とりあえずマットレスを縦にする
②ひたすら手紙を書く
③真っ裸になる
答えはネタバレへ
アケ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
好きになればなるほど失う怖さに怯えて何度も相手の気持ちを確かめようとする様は昔身に覚えがあったような…。相手も段々面倒くさくなって熱が冷めてしまうのはもう自然の摂理ですね。
特段ストーリーが優れてい>>続きを読む
文学的。どこがというと、母親の余命宣告を受け入れられない家族の心情が台詞だけではなくて所作で語られている。次男はやり場のない怒りを過去から次第に未来へと向け、辛い思いをしてもなお生きていく必要があるの>>続きを読む
言葉を発しない我が子に話し掛け続ける夫婦の姿を見て、言葉以上に伝わって来るものを感じた。だからこのドキュメンタリー映画は監督が無理に何かを引き出そうとしなくても、ありのままを撮るだけで良かったんだと思>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「ある職場」。実際にあったホテルチェーンのセクハラ事件を監督自身が取材しドラマ化。カメラ撮影がNGだったので劇映画に変更したんだそう。サラリーマンからしたら割と身近なテーマかも。
誰が被害者のことを>>続きを読む
原題は『KAPO』。邦題の『ゼロ地帯』よりも原題の方が絶対良い。何故ならこの「KAPO」には人間らしさを感じるから。
14歳の少女エディットは目の前で連行される両親を追い、自身も強制収容所へ輸送され>>続きを読む
死体が墓から何度も掘り返されて庭の木に立て掛けられるさまは何ともオカルトチック。当然、その家族は驚くわけだけど、毎回完璧な出来栄えについ賞賛したくなる。
他にも小手伸也似の市長が窓から退散したと思っ>>続きを読む
咲き誇るケシの赤花、美しい白い馬、無垢な少女の笑顔のインパクトたるや。視覚から感じる美しさと、健やかな人間の内なる美しさがこの映画には溢れている。その美しさの価値を軽んじる村の者たちは、因習に固執し希>>続きを読む
観たかったテンギズ・アブラゼ監督の祈り三部作を鑑賞。眼福でした!
モノクロームの美しさ。過去にモノクロの映像に惹き付けられた作品は何作かあるけど、この作品も冒頭から美しい。と、それだけではなくて、白>>続きを読む
マレーシアのマレーシア監督によるマレーシア人のための作品。と言いつつ、日本人の私でも十分楽しめました。「マレーシアの社会を良くしたい」という気概のある(?)総勢15人の映画監督がユーモアや音楽、たまに>>続きを読む
人と人との接し方が良い。親しい間柄であればあるほど、さり気なく近くに居てくれるという行為が嬉しかったりする。いつもより明るく話し出したり、戸惑ったりしているところに可笑しさを感じつつ、伝わって来る人の>>続きを読む
尖ってますねぇ…。この映画が発するメッセージがうまく飲み込めない。『親密さ』に出てくる「言葉のダイヤグラム」の詩で喩えるなら快速電車のような感じ。でもこういった映画の方が印象に残るから個人的には好みで>>続きを読む
「人生は何が起こるか分からない」と冒頭で答える母親の言葉が重い。サンフォード家に降り掛かった突然の悲劇。治安に恵まれた国に住む身として偶然という言葉を使うことに抵抗感を覚えた。
首都ワシントンD.C>>続きを読む
多くを語らないし、語ろうとしない映画。
タケシは街に出て感じるままにポラロイドカメラのシャッターを切る。ふと何気なく撮った1枚の写真。それはタケシにとって後々気になる1枚へと変化する。
雑踏、電車>>続きを読む
ジャミラじゃなくてジャミリャー。キリギス映画初鑑賞。
画家になった主人公セイトが少年時代に義姉のジャミリャーと過ごした日々の回顧録。
ジャミリャーの快活な性格が周りの人たちを惹き付ける。ジャミリャ>>続きを読む
ロシアの映画監督ソクーロフが日本のタブーに果敢に踏み込んだ作品。神格化された裕仁天皇が元の人に戻るまでの数日間をフラットな視点で描いている。
現人神であるからには弱音を吐く訳にはいかないし、否定をさ>>続きを読む
ロシア史への疎さから不完全燃焼な部分を感じつつも映像に惹き込まれました。
とにかく全編90分間ワンカットというだけでも驚愕なのに、滑らかなカメラワークから映し出される美しい映像に終始魅了されっぱなし>>続きを読む
「チーズとうじ虫」
このショッキングな題名はイタリアの作家、カルロ・ギンズブルクの『チーズとうじ虫』に監督がインスピレーションを受けて名付けたんだとか。
癌におかされた母親を娘である加藤治代さんが>>続きを読む
親子間コンフリクトがある人は琴線に触れる作品だと思う。こういう作品にめっぽう弱い。
少女オラのロードムービー。タバコ吸うわ酒は飲むわ、挙句の果てにキレやすいわでかなりぶっ飛んだ17才。でもポーランド>>続きを読む
面白い!和やかに始まって、コミカルなやり取りに居心地の良さを感じながら観ていたら、段々水槽の中で酸素が足りずに口をパクつかせている魚のような感覚になった。
舞台は甲府。タイ、ブラジル、フィリピン、日>>続きを読む
これは凄かった!!リアルな演技、映像、展開に終始圧倒されっぱなし!
凶悪犯罪件数が世界でも顕著なメキシコ。地元警察はあてにならず、娘の安否を願う母親の焦燥が痛いくらい伝わって来る。娘を助けるために取>>続きを読む
かなり変わっている映画。
偶然二度ぶつかり瞬く間に恋に落ちた男女が、邪悪な呪いによってお互いに外見が変わってしまい、相手が恋人と気付かないまますれ違いの日々を送る、という寓話のようなストーリー。>>続きを読む
「偶然と想像」
題名については鑑賞するまでなんの事やらだったけど、観て納得。全3話で構成された短編集。
濱口監督が「一緒にやりたい人と気楽に撮った」と言うだけあって、脚本が堅苦しくなくて面白い。台>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
村上春樹の短い車中の会話劇をよくここまで上手に肉付けしたなぁ、と素直に感動しました。骨と肉の相性が良かったんでしょうね。
濱口監督は「自分がやってきた映画の主題、例えば演じることや乗り物に乗って移動>>続きを読む
「あなたも人間なら答えてくださいよ!」
原一男監督『水俣曼荼羅』が行政との闘いなら、この映画は企業と被害者の闘いを記録したドキュメンタリー。
争点は患者の補償をどこまで行うか。加害者であるチッソ株>>続きを読む
真実を暴く側が反対側に転じた時に露呈する心の弱さ。春本監督は人の葛藤を描くのが上手い。全てを吐露しようとするのは正義か良心の呵責か、それとも。
信念は重い人もいれば軽い人もいる。負の選択を迫られた時>>続きを読む
集合住宅に住む人々の悲喜交々。
この『デカローグ』(10の言葉)は「汝の父母を敬え」、「汝、姦淫するなかれ」「汝、盗むなかれ」といったモーセの十戒がベースなんだそう。最初は「戒律を守れない罪深き人間>>続きを読む