よよよん

皮膚を売った男のよよよんのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
3.5
今回、オンライン試写で観たのだが、実は昨年(2020年)の東京国際映画祭でも観賞している。
中東(アフガニスタン)からの難民を題材にしているドキュメンタリー「ミッドナイト・トラベラー」、シリアを題材したドキュメンタリーである「ラッカは静かに虐殺されている」、シリアで人質となったカメラマンの実話「ある人質 生還までの398日」などを観ていると、主人公の行動や感情表現にいまいち切迫感が感じられないなぁ。というのが、観賞一度目の正直な感情であった。
しかし時間を置いてみると、国から逃げなければならなくなること、難民化すること、もっと言うと「死ぬ」こと自体が非日常ではない感覚なのかもしれないと思い直す。難民という記号ではない、難民となってしまった男が、芸術作品となることでどう生きていくのか?それを受け取る芸術の鑑賞者側と映画の観賞者側に突きつけられるテーマに以前より見応えを感じた。何度か観ると劇中で取り扱われる様々なモチーフについて深読みできそうな面白さも感じる。例えば、ひよこの選別は「雄(男)は選ばれない、雌(女)は選ばれる。だが、例外的に主人公は選ばれた。しかし、選ばれるのが幸福とは限らない…」とか。ひよこの選別は「ミナリ」でも使われたモチーフだよね。それと、アートの高価格化が気になっている人には「アートのお値段」なんかも観ているといいかもしれない。
もうちょっと深く書いたレビューはこちら
https://eiga.tottoco.tokyo/2021/11/08/the-man-who-sold-his-skin/