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総理の夫のamuのネタバレレビュー・内容・結末

総理の夫(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

投票には必ず行くようにしているが、本当の意味で支持できる政治家などこれまで一度も見たことがない。だから投票する人間は毎度しぶしぶ消去法で決めるしかない。選挙の度にいつも感じる違和感。それは、選挙に勝つ、負ける。という表現について。選挙戦という言葉もなんだかなと思っている。選挙による戦い。考えの異なる党に勝って自分たちの考える世の中にするんだ!という争い。なんだか醜いなと思う。本当に国民とか国とか良くしたいと思っているのか疑わしさしかない。特にもう今にも倒れそうなおじいちゃんが立候補とか意味がわからない。

そんなわけで政治家の「選挙に必ず勝ちます!」みたいなスタンスがわかるけどわからなかった。

ほかにも。私は女性だけれど、仕事の場において「女だから」という理由で嫌な思いをしたことは無い。運がいいのか、たまたま周囲に恵まれていたのか。わからないけれど、だからこそ正直、女性が活躍できる世の中に!という訴えもピンと来ない。私の周囲はずっと以前から性別関係なく、思うように仕事し、子育てし、活躍している。何をそんなに躍起になって男性に勝とうとしているのか。そんな風に感じてきた。

そもそも身体の作りが違うのだから、何もかもに男性に勝ちたいというのは無理も限界もあるだろうと思う。頼りにして、支え合って、お互い(の党の考え)を尊重し合って、協力体制でがんばることはできないのだろうか。

この作品では女性初の内閣総理大臣誕生!ということで世の中フィーバーになるが、総理となった凛子(中谷美紀さん)自身、女性だからどうこうということに重きを置いていない。これが逆であったらこの作品を最後まで観ることはなかったかもしれない。凛子の考えに、その人柄に、思いに。共感することができた。初めて消去法でなくこの人に投票したいと思えるような人物だった。また、ずっと違和感を感じていた「選挙に勝つ」という表現についても初めてしっくりきた。哀しくも矛盾してしまうが、まるで考えの異なる相容れない党と協力し合うことなど無理なのだ。ならば勝つしか無い。うちわにハチマキまでしないまでも、支持できる政治家がいるこの作品の中の日本が羨ましくもあった。

ほかにも書きたいことはたくさんあった気がするが、なんだかそれは今の世の中、政治家に対して思うことであって、作品のことでは無かったので、あとはキャスティングについて、。

総理、凛子役の中谷美紀さん。
美しいですね。
名前の通り凛としていて、それでいて優しさがあって。ぴったりのキャスティングでした。

総理の夫・ひより役、田中圭さん。
年下の夫感がとてもハマっていた。
あんまりはっちゃけると「おっさんずラブ」みが溢れちゃうので、そのギリをいった演技だったと思う。

広報の貫地谷しほりさん。
一見冷たげなチャキチャキした感じが合っていて、演技も安定の良きでした。

ひとつ引っかかったのは、ひよりの務める職場の女の子。一人だけ下手だった。なのに割と出演シーン多くて彼女だけミスキャスト。可愛かったけど。
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