Aix

ヒューマン・ボイスのAixのレビュー・感想・評価

ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)
3.5
ジャンコクトーの戯曲で知られる原作をオールアバウトマイマザーやペインアンドグローリーなどのペドロアルモドバルが映像化した作品。別れた恋人と電話をする女の話。

30分しかないのは分かっていたものの、思っていたよりも期待外れな作品でした。アルモドバルらしい小道具とか衣装、色使いは良かったし、彼の過去作の劇伴をそのまま引用しているのも、ファン的には嬉しい要素の一つだったと思います。主演のティルダスウィントンも頑張っていましたが、良くも悪くも、今作にはコクトーの映画にあったような魔法がなかったです。原作を大胆に映像化したとのことだけど、だったら別にセットを使う必要はなかった気がします(コクトーのオルフェの遺言のオマージュかも)。あくまでもティルダスウィントンの一人芝居にこだわりたかったのは理解出来ますが、監督がアルモドバルなだけあってもっとルックとストーリーを魅力的に仕上げて欲しかったです。
皮肉にも今作は、コクトーとアルモドバルの個性が中途半端にぶつかって、お互いに良さを消したような印象を受けました。
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