【古との対話】82点
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監督:ジェームズ・トヴェル
製作国:アメリカ/エジプト
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:114分
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　忘れかけていた古代エジプトへの情熱が蘇ってきた、そんな作品でした。良質でじっくりとサッカラのとある領域の発掘現場を映し出すnetflix発のドキュメンタリー映画。サッカラという地名は一般的にはややマイナーとなってしまうかもしれませんが、世界史好きなら知っていてもおかしくない、古代エジプト発祥の地とも言える場所。世界史の教員としても興味深く拝見させてもらいました。

　ギザの三大ピラミッドは言わずもがな有名ですが、サッカラにある階段ピラミッドとなると少し知名度が下がるようです。世界最古のピラミッドと言われる階段ピラミッド。実は今回の主役はこの階段ピラミッドではなくて、そこから1km弱の地にあるブバスティオン墓地であり、2018年に発見された高官ワフティーの墓がポイントになってきます。

　考古学者の探究心、興奮を垣間見れる瞬間です。悪く言えばただの墓荒らしなのですが、どの時代でもロマンは尽きないもの。確かに4000年近く前の遺跡が自分の目の前にいきなり現れたら感無量でありましょう。100年前のハワード・カーターもそうであったに違いない。現代の科学をもってしても全ての墓を発見できていないという事実。墓を発見するなんて不謹慎かもしれませんが、なんとなくワクワクしてきますね。

　このドキュメンタリー映画では驚くべき発見が何点か収められています。古代エジプト史がひっくり返るような仮説も生まれてきたりします。ワフティーとは一体何者だったのか。残されたヒエログリフや遺物、そしてミイラが静かに語りかけます。まさに時を超えた対話というべきものでありましょう。

　一昔前に古代エジプトの特番がよくテレビでしていましたが、今ではすっかり。クフ王のピラミッドの発掘はどうなってしまったのか？生きているうちに様々なことが判明してほしいところです。実は、僕はエジプトに旅行にいったことがあるのですが、ナイル川から見るエジプトの砂漠は素晴らしいものでありました。ただ、十分見れたとは言い難い。現地で堪能したいところですが限界があるため、こういう映像資料を見て感動したいと思います。

　今作から一年後にあたる今年の11月でも100体のミイラが見つかるなど、驚くべき発見があったようです。「掘れば出る」と言えばやや傲慢でありますが、それ程歴史が埋もれている貴重な地域でもあるのです。良いドキュメンタリーでした。

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2018年11月にエジプトの考古学チームが発掘した歴史的大発見とその発掘者たちを追ったドキュメンタリー映画。

発掘によりその遺跡の謎を解き明かすのはなにも物理的な発見や古代文字の解読だけではない。
発見された物から、同じ人間として古代の彼らの気持ちを想像する。
そこから昔の人々の人生観や価値観を知る事が、悠久の時代への更なる理解へと繋がる。

発掘チームの面々の目線と考え方を通して見る4500年前という遠い昔の人々はなんだかとても身近に感じられたし、国も時代も宗教も越えた繋がりに嬉しさを感じました。

そして何より発掘に情熱を燃やすチームの人々はとても輝いて見えました！

サッカラ遺跡の発掘現場。ツルハシにハケ。そこで発掘する人たちは博士も含め皆エジプト人ということにグッときた。埋葬されていたのは、4400年前、古代エジプト王ファラオに仕えた神官ワフティー一家。遺骨をみて会話をするように一人ひとりを鑑定する女医師の死者に対する姿勢に、特別だけど特別じゃない、古だけど今にもつながる不思議な気持ちになった。謎は深まるばかり。しかし埋蔵品の出土頻度が高くてびっくり。まだまだ秘められているものが多くワクワク。片手におさまるネコ様の像とかステキすぎて欲しくなる…。