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リトル・シングスのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・シングス(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

舞台は1990年のロサンゼルス。若い女性の連続殺人事件の真相を、デンゼル・ワシントン演じる群保安局巡査ディークと、LA市警の若きエース刑事ジミーが追う。

1990年代という設定なので、スマホはなくポケベルで呼び出しが入るし、監視カメラを使った捜査もない。タイプライターが映るが、70年代にはすでにパソコンが登場し、80年代にはそれなりに普及していたはず。少し時代考証に疑問が残る。

「ディークもジミーも事件にのめり込み過ぎてて危ういな」と思ったら、追う側がおかしくなり殺人を犯してしまう、というオチだった。

「おかしいな、この人エースのはずだけど?」と思わされるのは、行方不明となっているロンダという女性の死体の場所を教えてやるとジャレッド・レト演じる容疑者スパーマに言われ、彼の車にジミーが一人で乗り込むことだ。単独行動をする刑事が有能だろうか?その疑問は、ジミーがスパーマの指示で荒れ野にどんどん穴を掘る場面を見ても浮かぶ。なんと彼は、スパーマの証言にはなんの信憑性もないのに、「あそこだ」「やっぱあそこだ」と言われるままに、ロンダの遺体を埋めた場所を探し求めて掘り続けるのだ。

そのあたりで、ディークが連続殺人事件捜査中に、メアリー・ロバーツという女性を射殺してしまったことが明らかになる。市警の仲間たちは彼を庇って口をつぐみ、その後ディークは警察を辞めることなく群保安局に左遷されることになったのだ。

人は追い詰められるとどんな嘘でも信じるし、どんな嘘でもついてしまう、ということを描いていると思った。

冒頭で出てきた連続殺人事件の真犯人は、恐らく野放しのままだ。非常に後味の悪い結末。「シリアルキラー物は最後に刑事が解決するのが醍醐味でしょうがあ!」と「子どもがまだ食べてるでしょうが!」のテンションで言いたくなってしまった。

『ボッシュ』と同じLA市警を舞台にしており、しかも絵作りの色味も『ボッシュ』のシーズン初期に似ている。この映画の終盤に『ボッシュ』でジャック・ブレナー捜査官役を演じたアダム・ハリントンがFBI捜査官役を演じているので、やはり地続きの世界観だと思った。

「ボッシュはロサンゼルス暴動の1992年にはまだパトロール警官だったらしいから、1990年にはまだ警官になってないか、新米だったんだろうなあ。エース刑事のジミーには会ったのだろうか」と思った(←ボッシュ脳)。
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