SushidaJun

オキシジェンのSushidaJunのネタバレレビュー・内容・結末

オキシジェン(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます



タイトルすらミスリード


面白い。これはいいぞ。なんか家で映画観たいなぁーと思ってサブスク漁ってたら、最近当たりの多いワンシチュエーション映画を発見。箱詰め無酸素付ときた。設定がもうおもろい。そして、出オチ感もなく展開が進むにつれて面白さも膨れ上がっていく。何度も言いますが、こういう限られた条件下で物語が進むワンシチュエーションの映画だと、主人公にどれだけ感情移入できるかが勝負になってきます。その点から言うと今作は及第点くらいの出来です。それでも面白い!!が膨れ上がったのは、話のオチも含めた物語の筋書きが圧倒的に面白いからだと思います。終わってみると、自分好みの設定に自分好みの話が描かれていて、大満足の映画でした。


誰がSFだと思うんだよ笑。一種の方舟の物語だと分かってから脳汁が溢れました笑。酸素の供給機能がある時点であれこれ宇宙か?と思いつくことはできるが、外部に電話できたりしてるところを見ると、あれこれ宇宙じゃねぇのかと思わされた。盛大にミスリードの線路を走らされたわけですね笑。まぁここまではしょうがないとしても、記憶の移植なんてものは誰も想定できないだろ。この一手はかなり刺激的でしたね〜🤤。数多のSFの中でも、あまり観ない展開でワクワクが止まらんかったです。そしてこの映画のミソであるこの記憶の移植という点が主人公への感情移入をやや複雑にしているところも推しポイント。同じ記憶を持っているとはいえ、魂と肉体の二元論の立場を取るならば地球にいる主人公Aと記憶を移植され方舟で新たな大地を目指している主人公Bは全くの別人物ということになります。そうなると、主人公Aは自分とは違う人物が恋人(これも恋人Bになるか🙃)と再び出会い、幸せになることを望
んでいるということになる。この辺の想像が難しいところです。自分と同じ記憶を持った自分ではない人であっても、恋人のことを想えばそれでも良いと思えるのだろうか。納得!!って感じはしなかったですが、ラストシーンを観てるとあれも1つの愛の形なのだろうなと思いました。


また、あくまで主人公と恋人との愛情のところにファーカスが当たっているのも良かったかなと思います。設定が割と突飛なので、それらを一から百まで全て説明しようとするとどこかに綻びが生じる。1時間40分という割と短尺な映画なので、その辺の説明をしようと思えばできたかなとは思いますが、観ている側がざっと状況を飲み込める程度で説明は終わらせていたのはいい判断だったと思います。他人である自分と恋人の幸せを祈れるか、というこの映画の最大の主題に全力で向き合うことができます。映像として描かれているものは壮大でも、映画として描かれているのは人間の持つ普遍的な感情。SF映画が傑作になり得る要素をしっかり含んだ良作映画。


ここにきてネトフリまた調子上げてきました。他の作品も見漁ってみようと思います!!
SushidaJun

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