このレビューはネタバレを含みます
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2024 8
アマプラ限定1
なんて救いようのない重たい話なんだ。胸糞悪すぎる。ゲゲ郎。。。目玉親父で鬼太郎とずっと一緒に過ごせててよかった。
自分が振り返るときにこうだったなと分かるようにもりのちこさんのをお借りしました。問題のようでしたら消します。
昭和31年、戦後日本の政財界を牛耳る「龍賀一族」の当主・時貞(白鳥哲)が死去します。
「血液銀行」で働くサラリーマン・水木(木内秀信)は、龍賀一族が経営する「龍賀製薬」の担当という立場上、弔問のため彼らが住む哭倉村へ向かうことに。ちなみに血液銀行とはその名の通り“血液を売買する”機関で、信じがたいことに戦後日本に実在していました。
水木にとって弔問はあくまでも建前で、その真の狙いは次期当主に顔を売ること。さらに上司から課せられた「とある密命」を遂行して、自身の出世を確実にすることでした。彼の野望の裏には、戦争に参加した際の壮絶な経験があります。
村についた水木は当主の孫・沙代(種﨑敦美)が困っているところを助けますが、その行動にすら打算が混ざっていました。しかし彼女やその従兄弟・時弥(小林由美子)は東京からやってきた水木に興味津々で、じきに心を開いて懐いてきます。
ところが次期当主は水木の期待した人物にならなかったうえ、その当主も翌日遺体となって見つかるという事件が発生。
そこで「怪しいよそ者」だといって白髪の男(鬼太郎の父:関俊彦)が連れてこられますが、なんと村の者たちはいきなり彼の首を切り落として殺そうとします。
すんでのところでそれを止めた水木は、成り行きでその男の監視を任される羽目に。名乗ろうとしない彼に勝手に「ゲゲ郎」という名前をつけ、あれこれ会話を試みますが、野心的な水木とどこかのほほんとしたゲゲ郎ではあまり反りが合わないようです……。
水木が受けた「密命」は龍賀製薬が開発する妙薬「M」の調査でしたが、その鍵となりそうなのは村の禁域とされている島。ゲゲ郎の妻の気配もそこから感じられるらしく、水木とゲゲ郎はお互いの目的のため手を組むことになります。
やがて墓場で酒盛りをしながらの打ち明け話などを経て、ふたりのあいだには利害関係以上のものが芽生えるように。
しかしここに来て、ゲゲ郎は村の人間に襲われ捕われてしまいます。実は龍賀一族はゲゲ郎の同胞である「幽霊族」を捕まえ、彼らから搾取した血を原材料としてMを作っていたのです。その「工場」が例の島にあり、ゲゲ郎の妻もそこにいるといいます。
真相を知ってショックを受ける水木。幽霊族を道具のように扱い、それをなんとも思っていない一族の人間に、かつて自分たちを使い捨てにした上官の姿が重なります。
同時に、そんな一族に取り入ろうとしていた自分にも情けなさを感じるのでした。
その後次々と明らかになっていく龍賀一族の最悪な内情。その犠牲になり続けながらいつか村を出る日を夢見ていた沙代も、壮絶な最期を遂げることになってしまいました。
水木は絶望を味わいながらも、助け出したゲゲ郎とともに島の最深部へ到達します。
そこにあったのは幽霊族の血を吸ってどぎつい色彩を放つ「血桜」。そして孫である時弥の身体を奪ってこの世に顕現した、死んだはずの時貞の姿でした。
激闘のすえ、ボロボロになりながらも敵を倒した水木とゲゲ郎ですが、龍賀一族の悪行が生み出した怨念はそう簡単には消えてくれません。ゲゲ郎はついに見つけ出した妻、そしてその胎内に宿っていた子どもを水木に託し、自分がひとりですべてを引き受けることを決めるのでした。
やがて水木はひとり山道で倒れているところを消防隊に助けられますが、怨霊に襲われた影響で記憶を失ってしまいます。
何も思い出せないのに、彼の中には「誰かと一緒にいた」ことと、そこはかとない哀しさだけが残っていました。
【解説】エンディングで流れた“水木のその後”の意味は?
記憶を失った水木がその後どうなったかは、エンドクレジットとポストクレジットで描かれました。
彼は後に荒れ果てた家屋でゲゲ郎とその妻と再会を果たしますが、当然記憶がないため恐怖します。怨念のせいでミイラと化したゲゲ郎が彼に駆け寄っても、ただただ怯えて逃げ出してしまいました。
それでも何か引っかかったのか、後日ようすを見に行った彼はふたりが亡くなっているのを発見。かろうじて運べる状態だった妻の遺体を埋葬すると、なんとそこから赤ん坊、つまり鬼太郎が生まれてくるのでした……。
実はこの内容は『墓場鬼太郎』の第1話をオマージュしたもの。しかし元ネタの水木が「化物の子」である鬼太郎を突き飛ばし、左目に怪我をさせてしまった一方で、「ゲ謎」ではちがう展開を迎えることになります。
「ゲ謎」での水木は、一度は鬼太郎を恐れ墓石に叩きつけて殺してしまおうとしました。しかしそのときほんの一瞬、忘れたはずのゲゲ郎の姿が脳裏にちらつき、振りかぶった手をおろします。彼がその後とった行動は、鬼太郎を自身の胸に抱きしめることでした。
【解説】一族の殺人事件の真犯人は?
物語終盤、一族で起きた一連の殺人事件の犯人が沙代だったと明かされます。
当主・時貞は一族の血をより濃くして霊力を強めていくために、自身の孫である沙代に子を産ませようと性的虐待を与えていたのでした。このような近親での交配が龍賀家では長い間常習化していたようです。
時貞への恨みや一族から逃れられない苦しみを抱えた沙代は、いつしか妖怪「狂骨」をその身に宿らせてしまいました。
沙代は次期当主に就いた時麿からも暴行を受けそうになり、狂骨を操り時麿を殺害。続けて丙江や庚子も手にかけます。
自由を求め龍賀家から抜け出すことを切望する沙代。そんな彼女のもとに現れたのが東京から来た水木でした。自分を村から連れ出してくれと水木に頼む沙代ですが、思い叶わず……。