みや

牛首村のみやのネタバレレビュー・内容・結末

牛首村(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

奏音は同級生の蓮から自分に瓜二つの女子高生が出ている心霊動画を見せられる。牛首のマスクを被せられ、廃墟のエレベーターに閉じ込められたところで映像は途切れていた。奏音と蓮は動画の撮影地である坪野鉱泉へ向かい、廃墟のホテルを探索する。そこで知り合った青年・将太に連れられた先には、奏音の出生の秘密が隠されていた。

「恐怖の村シリーズ」第3弾。舞台は坪野鉱泉、怪異は都市伝説の「牛の首」。坪野鉱泉の名前はピンと来なかったが、廃墟のホテルと聞いて思い出した。調べてみると今年中に解体されてしまうらしい。怪しい雰囲気が凄く良かったから残念。

YouTuberアッキーナの幽霊ピース!?コメント欄にジーニーもいる!と初っ端から興奮した。微妙に前作と繋がっている?え、でも…と思っていたら、なるほどね。
そして思い返してみると、もしや『犬鳴村』に出ていたあの子もアッキーナでは?ということで調べてみたら、やはりそうだった。実はアッキーナで3作が繋がっていたとは。続いているというよりパラレルワールド的な感じみたい。
シリーズではないけれど『忌怪島』にも同役で出ているらしいので、こちらも観てみようと思う。

主人公の奏音はクールビューティータイプの女の子。そんな彼女に恋い焦がれる微笑ましいおバカな蓮くんに癒された。彼だけは最後まで暢気に彼女との旅を楽しんでほしい。そんな風に願っていました、本当に…。
とんとん拍子にテンポ良く物語は進んでいくのだけれど、新たな人との出会いの仕方に無理がなく、展開の仕方がずっと気持ちよかった。
蓮くんとは真逆の真面目タイプな将太くんが登場した時にすぐ悲しい予感はしたけれど、やはりこっちがメインになるのか…。どちらの男の子も一途で優しくて好感度が高かったです。

『樹海村』に引き続き、今回も恐怖演出を楽しめた。本当に清水監督を克服したのかもしれない。嬉しい。窓や水たまりの反射だったり、影や画面の端にほんのり見えたり、ちょっとしたところにホラー演出が潜んでいる。ちゃんと見ていないとスル―しちゃうレベルのものもあり、目を離せなかった。
ド派手な怪異も良いものが幾つかあって、特にエレベーターはありきたりだけれど、やっぱり興奮しちゃうよね。村のドロドロした陰の部分での怪異も勿論しっかりと描かれているから、色々なパターンの演出があって飽きなかった。

今回の呪いは村ホラーの定番設定の一つ。日本各地で実際にあった「双子を忌み嫌う因習」によって殺された双子の片割れの怨念によるもの。
双子で生まれてくるって自分ではどうしようもないことだから凄く理不尽だというのは分かるし、現代の感覚で言うと生き残った片割れを恨みたくなるのは当然だよなあと思う。ただ、今回の怪異のメインとなる奇子さんに関しては自業自得では…?何が起きるのか知らなかったとはいえ、自己中心的な行動をした結果であるのは間違いなくて、そういう自己中の人だから後の代まで自分勝手に呪ってくるんだろうなあ。
だから綾子に対して同情できず、思い入れはまるで持てなかったのに、ハッピーエンドに見えた結末が実は奇子の勝利だったと分かった時は思わずニヤッとしちゃった。作中で何度も出てきたSiriの「依り代」が最後の最後で活きてくるのも上手い。奇子、最高じゃないか!
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