垂直落下式サミング

真・事故物件 本当に怖い住民たちの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.7
YouTuberとして売り出し中の女性タレント三人が、芸能活動の一貫として事故物件のアパートに住んで動画撮影をするという企画に参加させられてしまうが、そこで怪奇現象に襲われる。国産血みどろホラー。
主役の女の子かわいかった。部屋についてからスマホのカメラ機能を手鏡がわりにして髪型なおすとき、急に映像の解像度があがってドキッとしちゃった。
それまで、ずっと薄暗いホラー調の色合いだったのに、いきなり無加工で顔ちっさ!毛穴みえるくらいアップでこんだけかわいいとか、芸能人なんやなあって。無防備なアイドルの面、この距離でみることないもんな。いいモンみれました。
シネマンションのRaMuちゃんも主要キャラで出演していて、負けじと元気キャラ自撮りを披露する手慣れ具合がYouTuberっぽかった。
小島みゆはいちばん演技うまくて、台詞とかも自然だし、三人のなかではいちばん年上のお姉さんな風貌もあいまって、安心してみていられる。
特によかったのは、仕事できないマネージャーをガラ悪い口調で電話越しに怒鳴りつける場面。ホントにこういう恐いオンナなんじゃないかって思っちゃうくらいに、芝居が達者でした。
ホラーに必要なのは、きれいな女優さんだなって、つくづくそう思います。みんなかわいくて、スタイルよくて、まさしくアイドルって感じでステキでした。
ホラーファンは楽しめる佳作ではないかと。蛇口を捻るとゲロゲロな汚水が出てきて、奥の部屋にはバラバラにした四肢が積まれていて、そこかしこに血まみれ新聞紙が散乱、日本の汚いボロアパートみたいなところで真面目にスプラッターをしていて、なかなか見ごたえする作品だったと思う。
まず、いきなり何事かと思わせるような始まりがよかったし、ネタバラシまでは、心霊ホラーなのか、サイコホラーなのか、曖昧な線を越えないまま進んでいくのがスリリングであるし、結局は幽霊も物理攻撃してくるある種のスラップスティックさが、いい意味で邦画っぽくなくて笑ってしまった。
ついに正体をあらわした悪いやつが、落語の言い立てみたく激昂して長台詞を言うのは、ちょっとサムいかなと思ったけど、本作に関してはすごくよかった。
思想強めのやつが感情むき出しに喚いててウルサイけれど、その横でまあどうでもいいやみたいな顔してタバコ吸ってる男という客観視点があるおかげで、僕の嫌いなお喋りサイコくんの一歩手前で踏み留まってくれている。
最後は虐げられた弱者の反撃。ENDのタイミングで拍手喝采とまではいかなかったのが惜しいところ。女たちのにぎり拳には怒りと悲しみが乗っかっていたけれど、もっとボルテージ高めてほしかったな。
要するに、芸能事務所と猟奇殺人というふたつの搾取構造が重なることで、社会に紛れて女を食い物にする狡猾な悪党のあり方浮き上がらせているわけだ。
惜しむらくは、残酷描写のみせかた。これがよくない。即物的なゴアシーンを本気で作ってるだけに、編集で刻んでハッキリみせないのは勿体無い。変に明るげな音楽を流してごまかさず、女の悲鳴とか、痛がる表情とか、力なく横たわる姿とか、そういう下世話で俗悪なシーンを入れてほしかったです。そうすりゃあ、最後もっとスカッとしたかも。
いちばん笑えたのは、島田秀平への手相いじり。オカルト系タレントは、こんくらいの扱いしたほうがいい。気難しい文化系の人と違って、本職お笑い芸人だから洒落の通じる懐の広さに好感がもてる。
でもな、あんま微妙なんだよな。怖い話とか好きでよくYouTubeで聴くんだけど、島田怪談って状況説明ばっかで、想像をかきたてないっていうか…。
この映画でも、主題となる事故物件にまつわるはなしをしていて、かなり聞きやすくスムースに語っているはずなのに、ノー編集だとけっこう飽きる。
島田の野焼き後の焦げた芝生みたいな乾いた声質が原因なのか、ねずみ男みたいに不愉快にニヤついた表情のせいなのか、ハッキリとした理由はかわかんないけど、どうにも集中して聞けない話し方なんだよな。怪談師向かないんだと思う。
手のシワ一本でやっとけって。島田、廃業しろ。