お笑いの構成作家を志望するツチヤが、自身の目標到達と引き換えになるような形で「地獄」(作中の台詞)を目撃することとなる。なぜそこまで地獄なのか？それがツチヤ本人にも僕ら観客にも今ひとつわからないまま、彼を取り巻く状況は残酷にも刻々と変わっていく。何か重要そうな箇所で唐突に場面の切り換わりが起こることも多々あることから、問題が意図的に宙吊りにされてる印象を受ける。そんな演出も相まって、彼の得体のしれない宙吊りにされたままの葛藤が、単なる「お笑い業界ゆえの苦悩」とは思えないくらい僕の内面に訴えかけるものがあった。これは思いがけない衝撃作。
