タキ

女神の継承のタキのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
4.2
土着の宗教の禍々しさを煮染めたような儀式の数々、ホンモノのようなリアリティがあるけれど監督の創作がずいぶん入っているとのことで、ミッドサマーのような詳細な設定の作り込みをするオタク気質を感じる。ネットで色々な解説を読むと、ラスト近くに映った廃工場の片隅に打ち捨てられている釘を打ちつけたヒトガタはブードゥー教の呪いだと書いてあるものがあって、なるほど祈祷師の助手たちがゾンビみたいになっているのもブードゥー教からくるものだとしたら合点がいく。
暗闇の中の光源のためとはいえ自分が襲われてもカメラを構え続ける撮影クルーにはちょっと笑ってしまったけど、前半の静謐さ、後半の躍動感溢れるカメラワークの違いもさることながら、定点カメラの映像が効いている。よく見るとミンがすみっこに映り込んでいて発見した時めちゃくちゃ怖い。ミン役の木村佳乃似の女優さん、体力気力大丈夫だったのか心配になるぐらいの入り込みかただった。しかも最後の方は背骨が浮いて見えるほど痩せていて、元々細いのにそこから10キロ減量したとインタビュー記事で見て恐れおののいている。
「この車は赤い」というのはタイの迷信なのだというのも監督のインタビュー記事で知った。信仰というあまりにパーソナルであやふやなものを「この車は赤い」というニムの車の後部に貼ったステッカーひとつで目に見える形で表現したのだ。振り返るとジワジワとあとから恐怖がやってくる。


『女神の継承』公開記念!
バンジョン・ピサンタナクーン監督・単独インタビュー! https://cowai.jp/interview/11221/

ナ・ホンジンと目標にしていたことを達成した…『女神の継承』サワニー・ウトーンマ、ナリルヤ・グルモンコルペチ、バンジョン・ピサンタナクーン監督を迎え舞台挨拶開催!
https://cineboze.com/2022/07/30/megami_20220730/
『劇中での、黒い車に対して「この車は赤い」というステッカーが意味することを問われ、バンジョン監督は「タイ人の迷信なんです。例えば、車を買って、霊媒師や占い師に『この色の車をあなたが運転すると運が悪い』と云われたとしても、もう買い替えるお金がないんですよ。だからシールを貼っている。この考え方が最後の儀式に繋がっていく」』
タキ

タキ