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ある男のogiharaのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
3.7
アイデンティティと名付けとの関係性を問う映画。
ある男が〈誰〉であるかは、通常〈固有名〉の名付けによって定義される。また、親と部分的に名を共有することで、それがある種の呪いのようなかたちで、自分や子のアイデンティティに強く影響を与えたりする。
しかし本作では〈誰〉を指示するはずの〈固有名〉を撹乱することで、〈誰〉を形成するのに本質的なのは〈彼が他者に与えた何か〉であることを示そうとしている。
自分が誰であるかは、他者の眼差しがあってはじめて決まる。固有名はあくまでその存在を事後的に他者から識別するための記号であり、結果にすぎないのだ。
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