マンハッタン計画で原爆開発を指揮した物理学者、オッペンハイマーの伝記映画。
かなり良かった。
オッピーの人間性が公私にわたって多面的に描かれており、重厚な伝記作品となっていた。
無駄なシーンもなく、3時間という長尺だが中弛みは感じなかった。
映画のなかのオッピーの印象としては、核開発の主導者でありながらも、「中立的」な考えを持った人間であるように感じた。
政治的信条はリベラル寄りで、平和への想いもあったオッピー。
そんな人間が、なぜ核を開発してしまったのか？
その背景には、最先端を追求したいという研究者としての性や、ナチス・ドイツの核開発を看過できないという自身のユダヤ人としてのバックグラウンドから生じる危機感があるようだった。
オッピーは核開発による帰結も予想しており、核の使用については懸念も示していた。
だが、潮流に乗って開発「してしまった」。
そして、一度核を手にしてしまった人類は、1人の力では止められるはずもない。
その点において「慧眼であり盲目」だったのだろう。
本作は全くもって米国賛美ではない。
人類の大きな動きを前にした時の1人の人間の無力さ、取り返しのつかない出来事に加担してしまった1人の人間の複雑な感情が主題だった。
キリアン・マーフィーの演技が素晴らしく、より重厚なドラマとなっていた。
本当に語り尽くせない。
アインシュタインは可愛かったw
